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介護ほうもんさーち
事業所の選び方・見極め

訪問介護の困りごとの相談先と伝え方

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

訪問介護で「困った」と感じたとき、事業所・ケアマネジャー・市区町村・国民健康保険団体連合会など、どこに何を相談できるかを段階別に整理し、初めての相談でも伝え方に迷わないよう準備の仕方まで解説します。

01訪問介護で「困った」と感じたら、まず知っておきたいこと

訪問介護を利用していると、「ヘルパーさんの対応が気になる」「約束していたことと違う」「連絡がうまく取れない」など、大小さまざまな困りごとが出てくることがあります。こうした困りごとは決して特別なことではなく、誰にでも起こりうるものです。

実は、訪問介護事業所には制度上、苦情を受け付けるための窓口を設置することが義務づけられています。指定居宅サービス等の運営基準(平成11年厚生省令第37号)第36条では、事業所が苦情を受け付けるための窓口を設置する等の必要な措置を講じなければならないと定められています。つまり「困りごとを伝える先」は最初から用意されている、ということです。

相談の道筋は一つではありません。まずは事業所の担当者に伝える、次にケアマネジャーに相談する、それでも解決しない場合は市区町村や国民健康保険団体連合会(国保連)といった公的な窓口に相談する、という段階があります。どの段階からでも構いませんし、いきなり公的窓口に相談しても問題はありません。

大切なのは「小さな違和感でも我慢しすぎないこと」です。本人や家族が感じた困りごとを言葉にして伝えることは、サービスの質を保つためにも、今後同じことが起きないようにするためにも意味があります。この記事では、誰に・どんな順番で・どう伝えればよいかを具体的に整理していきます。なお、事業所ごとの評価や対応の適否そのものについては、この記事では判断しません。困りごとが起きたときの窓口と伝え方の整理に絞って解説します。

02相談する前に整理しておきたい3つのこと

困りごとを誰かに伝えるとき、頭の中で漠然と感じているだけでは、相手にうまく伝わらないことがあります。相談する前に、次の3つを整理しておくと、事業所やケアマネジャー、公的窓口とのやり取りがスムーズになります。

1つ目は「いつ・どこで・誰が・何をした(しなかった)か」という事実を時系列でメモすることです。日付や訪問時間、担当したヘルパーの名前(分かる範囲で)、具体的にどんなことがあったかを書き出しておきましょう。記憶だけに頼ると、後から「言った・言わない」になりやすいため、簡単なメモでも残しておくことが役立ちます。

2つ目は、事実と「本人・家族がどう感じたか」を分けて整理することです。「約束の時間に来なかった」という事実と、「不安になった」「心配になった」という気持ちは別のものです。両方を伝えることで、相手も状況を理解しやすくなります。

3つ目は、「今後どうしてほしいか」という要望を具体的にしておくことです。「謝罪してほしい」のか、「同じことが起きないようにしてほしい」のか、「担当者を変えてほしい」のかによって、相談先や伝え方が変わってきます。要望が漠然としていると、事業所側も何をすればよいか分かりにくくなります。

この3つを紙やメモアプリに書き出しておくだけで、電話や面談で伝えるときの負担がぐっと減ります。ケアマネジャーに相談する際も、このメモを見せながら話すと、より正確に状況が伝わります。

03まず伝える相手(1)事業所のサービス提供責任者・管理者

訪問介護事業所には、サービス提供責任者と呼ばれる立場の職員がいます。サービス提供責任者は、ヘルパーの訪問予定の調整やサービス内容の管理を担う立場で、利用者・家族からの相談や困りごとの窓口としても機能することが一般的です。まずはこの担当者、または事業所の管理者に直接伝えてみるのが基本的な第一歩になります。

先ほど述べたとおり、運営基準(平成11年厚生省令第37号)第36条により、事業所には苦情を受け付ける窓口を設置する義務があります。また同基準第29条では、運営規程に苦情処理の体制・方法を定めることとされています。つまり、事業所には「誰が」「どのように」苦情を受け付けるかをあらかじめ決めておくルールがあるということです。

実際に確認する方法としては、契約時に受け取った重要事項説明書を見返すことをおすすめします。重要事項説明書には、事業所内の苦情受付担当者の氏名・連絡先が記載されているのが一般的な運用です。契約書類が手元に見当たらない場合は、事業所に「重要事項説明書をもう一度見せてください」と伝えれば再確認できます。

伝え方としては、電話や訪問時の口頭でも構いませんが、内容が込み入っている場合は「お話ししたいことがあるので、少しお時間をいただけますか」と面談の機会を作ってもらうとよいでしょう。前章で整理したメモを見せながら、事実→感じたこと→要望の順に伝えると、担当者も状況を把握しやすくなります。なお、対応記録の保存方法や保存年限は事業所・自治体によって扱いが異なる場合があるため、対応の記録がどのように残るかについては事業所へ直接確認してください。

事業所のサービス提供責任者・管理者からケアマネジャー、市区町村や国民健康保険団体連合会・地域包括支援センターへと広がる相談先のエスカレーション図

04まず伝える相手(2)担当のケアマネジャー

訪問介護事業所に直接伝えにくい、あるいは伝えても状況が変わらないと感じるときは、ケアプランを作成している担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談する方法があります。ケアマネジャーは利用者・家族と訪問介護事業所の間に立つ立場のため、事業所に直接言いにくい内容でも相談しやすいという声はよく聞かれます。

ケアマネジャーに相談できる内容は、ヘルパーの対応への困りごとだけではありません。「サービス内容を見直したい」「訪問の曜日・時間を変えたい」「他の事業所も検討したい」といった相談も、ケアプランの見直しに関わるため、ケアマネジャー経由で進めるのが自然な流れです。

一方で、「ケアマネジャー自身に相談しにくい」「対応してもらえない」と感じる場合もあるかもしれません。その場合は、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所の管理者に相談するという選択肢があります。管理者に事情を伝えれば、事業所内での担当交代や、状況によっては他の居宅介護支援事業所への変更について案内を受けられる場合があります。ケアマネジャーの変更手続きの詳細は、事業所やケアマネジャー自身、地域包括支援センターに確認するのが確実です。

相談する際は、事業所への相談と同じように、事実・感じたこと・要望を整理して伝えるとスムーズです。「事業所に伝えたが解決しなかった」という経緯がある場合は、その経緯も併せて伝えることで、ケアマネジャーが次にどう動くべきか判断しやすくなります。

05事業所での解決が難しいときの公的な相談窓口

事業所やケアマネジャーに伝えても状況が変わらない、あるいは直接事業所に言うことに抵抗がある場合は、公的な相談窓口を利用することができます。代表的な窓口が、市区町村の介護保険担当課と、国民健康保険団体連合会(国保連)です。

市区町村の介護保険担当課は、地域の介護保険サービス全般について相談を受け付ける窓口です。訪問介護に関する困りごとについても、まずは電話や窓口で状況を伝えることができます。

国保連は、介護保険法第176条第1項第3号に基づき、指定居宅サービス事業者等が行う介護サービスについて利用者からの苦情を受け付け、事業者に対して必要な指導・助言を行う役割を担っています。東京都国民健康保険団体連合会などの案内によると、国保連が対応する典型的なケースは、(1)利用者の居住市町村と事業所の所在市町村が異なるなど市町村域を越える案件、(2)市町村での対応が難しい案件、(3)申立人が国保連での対応を特に希望する場合、とされています。

一方で、国保連の対応には限界もあります。同じ案内によれば、事業者の過失や損害賠償責任の有無といった法的責任の判断、医療的判断、訴訟中・係争中の事案は対象外とされています。国保連はあくまで「介護サービスの質の向上」のための指導・助言を行う機関であり、損害賠償や法的な決着を求める場ではない、という点は理解しておく必要があります。

手続きとしては、まず電話での相談から始まり、正式な苦情申立てには苦情申立書・同意書の提出が必要になる運用が一般的です。東京都・宮城県の国保連の案内では、受理から概ね60日を目途に調査・指導助言を行うとされています。ただし、この期間や手続きの詳細は都道府県の国保連ごとに異なる可能性があるため、居住地の国保連の窓口に直接確認することをおすすめします。窓口の連絡先は、都道府県ごとに異なるため、「(都道府県名) 国民健康保険団体連合会 介護 苦情」などで検索するか、市区町村の介護保険担当課に問い合わせて確認してください。

06地域包括支援センター・運営適正化委員会という選択肢

「どこに相談すればよいか分からない」と迷ったときの入り口として、地域包括支援センターも活用できます。地域包括支援センターは、介護・医療・保健・福祉に関する高齢者の総合相談窓口で、総合相談支援・介護予防ケアマネジメント・権利擁護・包括的継続的ケアマネジメント支援の4つを主な業務としています。保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)といった専門職が配置されており、訪問介護に関する困りごとについても、どこに相談すればよいかの案内を受けられる場合があります。「まずどこに相談すればいいか分からない」というときに気軽に問い合わせてよい窓口です。

もう一つの選択肢として、運営適正化委員会があります。これは社会福祉法第83条に基づき、都道府県社会福祉協議会に設置される第三者機関で、社会福祉・法律・医療等の学識経験者によって構成され、福祉サービスに関する苦情の解決を図る役割を持ちます。ただし、運営適正化委員会が扱う苦情の範囲は福祉サービス全般であり、介護保険サービスである訪問介護がどこまで対象に含まれるかは自治体や事案によって異なる可能性があります。利用を検討する場合は、まず都道府県社会福祉協議会の窓口に「訪問介護に関する相談も対象になるか」を確認することをおすすめします。

このように相談先は複数ありますが、「どこが正しい窓口か」を最初から完璧に選ぶ必要はありません。地域包括支援センターや市区町村の窓口に「訪問介護のことで困っている」と伝えれば、適切な窓口へつないでもらえることが多いので、まずは身近な窓口に相談してみることをおすすめします。

07要支援の総合事業サービスなど、制度が異なる場合の注意点

訪問介護と似た名前のサービスに、介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の訪問型サービスがあります。これは要支援認定を受けた方などが利用するサービスで、介護保険の訪問介護(要介護1〜5の方が対象)とは制度上区別されています。

総合事業の訪問型サービスは、国が全国一律に基準を定める訪問介護とは異なり、サービスの内容や基準、担い手の要件などが市区町村ごとに定められています。そのため、「隣の市区町村では使えたサービスが、自分の住む市区町村では対象外だった」ということも起こり得ます。この記事で紹介した国保連や運営適正化委員会の対応範囲についても、総合事業のサービスが同じ扱いになるとは限りません。

総合事業の訪問型サービスで困りごとが生じた場合の相談窓口は、まず市区町村の高齢者福祉担当課、または地域包括支援センターに確認するのが確実です。「これは訪問介護なのか、総合事業のサービスなのか分からない」という場合も、ケアマネジャーや地域包括支援センターに聞けば整理してもらえます。

本人・家族としては、「訪問介護」と「総合事業の訪問型サービス」を混同せず、自分が利用しているサービスがどちらに当たるのかを、まずケアプランやサービス開始時の説明資料で確認しておくとよいでしょう。分からない場合は、遠慮せずケアマネジャーや市区町村の窓口に「これは訪問介護ですか、総合事業のサービスですか」と尋ねることをおすすめします。制度の違いを理解しておくことで、困りごとが起きたときにどこへ相談すればよいかがスムーズに分かります。

08相談・苦情のあと、どう進んでいくか

相談や苦情を伝えたあと、すぐに結果が出るとは限りません。事業所内での事実確認や、国保連による調査には一定の期間がかかることがあります。前述のとおり、国保連の場合は受理から概ね60日を目途に調査・指導助言を行うという運用が案内されていますが、これはあくまで一つの目安であり、案件の内容によって前後する可能性があります。「すぐに結論が出ないのは普通のことだ」と心づもりをしておくと、待つ間の不安が少し和らぐかもしれません。

やり取りの途中経過も、可能であれば記録に残しておくことをおすすめします。「いつ、誰に、何を伝えたか」「相手からどう返答があったか」をメモしておくと、複数の窓口にまたがって相談する場合や、後から状況を振り返る場合に役立ちます。

解決に至った場合、その後もそのままサービスを継続するのか、事業所やヘルパーの変更を検討するのかは、本人・家族の気持ち次第です。担当者が変わることで状況が改善するケースもあれば、事業所自体を変えたほうが安心できるケースもあります。どちらを選ぶ場合も、ケアマネジャーに相談しながら進めると、ケアプラン全体との整合性を保ちやすくなります。

大切なのは、困りごとを伝えたこと自体が「今後のサービスの質を保つための行動」であるという点です。結果がすぐに見えなくても、伝えたことには意味があります。焦らず、必要に応じて複数の窓口を使い分けながら、本人にとって安心できる形を探っていきましょう。

09事業所探し・相談先選びに迷ったときに確認できること

困りごとをきっかけに事業所の変更を検討する場合や、そもそも事業所選びの段階で「相談体制がしっかりしているか」を確認しておきたい場合は、厚生労働省が運営する介護サービス情報公表システムを活用する方法があります。このシステムでは、都道府県が公表する事業所の基本情報に加えて、地域包括支援センターなど関連する相談窓口の情報も調べられる仕組みになっています。事業所選びの初期段階で、運営規程や苦情対応の体制について公表されている情報を確認しておくと、契約後に困ったときの見通しが立てやすくなります。

介護ほうもんさーちでも、お住まいの地域から訪問介護事業所を探すことができます。ただし、個別の事業所の評価や対応の良し悪し、空き状況について断定的な情報を提供するものではありません。あくまで事業所探しの入口として活用いただき、実際の苦情対応の体制や窓口については、契約前に事業所へ直接確認したり、重要事項説明書で確かめたりすることをおすすめします。

最後にお伝えしたいのは、困りごとの相談先は一つに絞られていないということです。事業所、ケアマネジャー、市区町村、国保連、地域包括支援センターと、複数の窓口が用意されているのは、それだけ「利用者・家族が声を上げやすくするための仕組み」が整えられているからです。「どこに相談すればいいか分からない」と足踏みするより、まずは身近な窓口に一歩踏み出してみることが、状況を良い方向に進める近道になります。

FAQ

このガイドのよくある質問

まずは事業所のサービス提供責任者や管理者に直接伝えるのが基本の流れです。運営基準(平成11年厚生省令第37号)第36条により、事業所には苦情を受け付ける窓口の設置が義務づけられており、重要事項説明書に担当者の連絡先が記載されているのが一般的です。事業所に伝えにくい場合は、担当のケアマネジャーに相談する方法もあります。
市区町村の介護保険担当課や、国民健康保険団体連合会(国保連)に相談する方法があります。国保連は介護保険法第176条に基づき、市町村での対応が難しい案件や広域的な案件について指導・助言を行います。どこに相談すればよいか迷う場合は、地域包括支援センターに問い合わせると案内を受けられます。
まずはケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所の管理者に相談する流れが一般的です。事業所内での担当交代や、他の居宅介護支援事業所への変更について案内を受けられる場合があります。手続きの詳細は事業所や地域包括支援センターへの確認が必要です。
国保連は介護保険法第176条に基づき、訪問介護など指定居宅サービス事業者の対応について苦情を受け付け、事業者への指導・助言を行います。市町村域を越える案件や市町村での対応が難しい案件が主な対象です。ただし損害賠償請求や医療的判断、訴訟中の事案は対象外とされています。受理から概ね60日を目途に調査を行う運用ですが、詳細は居住地の国保連へご確認ください。
総合事業の訪問型サービスは要介護1〜5向けの訪問介護とは制度上区別され、内容や基準は市区町村ごとに異なります。相談窓口も同じ扱いになるとは限らないため、まず市区町村の高齢者福祉担当課や地域包括支援センターに、利用しているサービスの種類とあわせて確認することをおすすめします。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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