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認知症の家族に訪問介護は頼める?

Published
作成日: 2026年7月1日
Updated
最終更新日: 2026年7月1日

認知症の家族に訪問介護は頼めるのか、要介護認定の考え方や見守り的援助、同居家族がいる場合の生活援助の扱いを一次情報にもとづき解説します。

01認知症だけを理由に訪問介護を断られることはある?

結論から言うと、認知症であること自体は訪問介護を利用できない理由にはなりません。訪問介護は要介護認定(要支援1〜要介護5)を受けていれば、身体機能の状態にかかわらず利用対象になります(訪問介護を利用できる対象者や要介護度による違いは別記事で整理しています)。認知症の症状で日常生活に支障が出ている場合、要介護認定の調査でも認知機能の低下が評価項目に含まれており、身体的な自立度が高くても要介護度が認定されるケースは珍しくありません。

ただし、実際にサービスを組めるかどうかは事業所側の受け入れ体制にもよります。徘徊への対応、服薬管理、他利用者や近隣とのトラブル対応など、事業所ごとに経験値や人員体制に差があるため、「認知症対応の実績があるか」をケアマネジャーや事業所に確認することが大切です。この確認は事業所検索や個別相談で行うのが確実です。

02認知症の人に訪問介護で頼めること

訪問介護員(ヘルパー)が認知症の利用者に対して行う支援は、身体介護と生活援助の枠組みの中で提供されます。厚生労働省の通知(いわゆる老計10号、老振発0330第2号による改正後の内容)では、認知症の高齢者に対する支援の具体例として、声かけ・誘導を行いながらの食事や水分摂取の支援、リハビリパンツ交換時の見守りと声かけ、本人と一緒に行う整理整頓を通じた生活歴の想起の促しなどが「自立生活支援のための見守り的援助」として身体介護に位置づけられています。

単にヘルパーが代わりに家事をこなす生活援助とは異なり、本人ができることは本人にやってもらい、ヘルパーは安全確保と声かけで支えるという関わり方が想定されている点が特徴です。具体的にどこまで頼めるかはケアプランと個別の状態によって変わるため、ケアマネジャーとの相談で決めていきます。

認知症の方が訪問介護で頼める身体介護・生活援助・見守り的援助と、本人の意思を尊重する支援内容をまとめたカード列挙図

03同居家族がいる場合、生活援助は使えないのか

「息子・娘と同居しているから生活援助(掃除・洗濯・調理など)は使えない」と誤解されがちですが、正確ではありません。単身世帯でなくても、同居家族が障害・疾病その他のやむを得ない事情により家事を行うことが困難な場合は、生活援助を算定できるとされています(一人暮らしの場合の考え方は独居高齢者の訪問介護の使い方で解説しています)。

認知症の家族と同居している側(配偶者や子)が仕事で日中不在、高齢で体力的に家事が困難、あるいは自身も持病を抱えているといった事情がある場合、その状況をケアマネジャーがケアプランに位置づけることで生活援助の利用が可能になります。「なぜ同居家族が家事をできないのか」を具体的に説明できるようにしておくと、ケアプラン作成がスムーズです。自己判断で諦めず、まずケアマネジャーに同居家族の状況を伝えて相談してください。

04身体介護と生活援助、認知症のケースではどう組み合わせる?

認知症の利用者では、身体的な介助の必要度が低くても、見守りや声かけを中心とした支援の比重が大きくなる傾向があります。以下のような組み合わせが一般的な検討の切り口です。

支援の場面想定される区分ポイント
食事・水分摂取の声かけ誘導身体介護(見守り的援助)本人と一緒に行うことが前提
リハビリパンツ交換時の見守り身体介護(見守り的援助)ヘルパーが代行せず声かけ中心
単身または同居家族が家事困難な場合の調理・掃除生活援助同居家族の状況の説明が必要
服薬確認・声かけ身体介護医療行為にあたらない範囲

どの区分になるかは個別の心身状態とケアプランの内容によって最終的に決まります。また、そもそも要支援か要介護かによって利用できる訪問系サービスの枠組み自体が変わるため、要支援・要介護での訪問介護の違いもあわせて確認しておくと理解しやすくなります。認知症が進行して身体機能の低下も重なり、寝たきりや全介助に近い状態まで進んだ場合の訪問介護の使い方は支援の比重がさらに大きく変わってくるため、状態の変化に応じて別途確認しておくと安心です。表はあくまで検討の出発点として使ってください。

05本人の意思をどう確認する?契約や同意の考え方

認知症があっても、本人の意思を無視して家族だけでサービス内容を決めることは想定されていません。厚生労働省が公表している「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」(2018年策定、2025年3月に第2版へ改訂)では、本人の意思決定能力に配慮しつつ、表情や仕草も含めて本人の意思・選好を丁寧に確認し、それを尊重するプロセスが基本原則として示されています。

訪問介護の契約時も同様で、本人が説明を理解し同意できる場面ではまず本人に説明し、判断が難しい場合は家族やケアマネジャー、必要に応じて成年後見制度なども含めたチームで支援するという考え方が基本です。契約手続きの詳細は事業所の重要事項説明書や契約書で確認し、不安があれば地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してください。

06若年性認知症や行動・心理症状(BPSD)がある場合は?

65歳未満で発症する若年性認知症でも、特定疾病として要介護認定の対象になる場合は訪問介護を利用できます(詳しい対象条件は要介護認定の窓口・地域包括支援センターで確認してください)。就労世代であることが多く、本人・家族の心理的負担や経済面の課題が大きいため、若年性認知症支援コーディネーターなど専門の相談窓口と連携しながら検討するのが望ましいです。

興奮や拒否といった行動・心理症状(BPSD)が強く出ている場合は、訪問介護だけで抱え込まず、かかりつけ医や認知症専門医、地域包括支援センターと連携しながら支援体制を組むことが重要です。事業所によって対応できる経験やスタッフ体制に差があるため、症状の状況を正直に伝えたうえで受け入れ可否を確認することをおすすめします。

07見守り目的だけでも訪問介護は頼める?

「特に介助は必要ないが、目を離すと不安」というケースもあります。訪問介護は介護保険の給付対象となる具体的な援助行為に対して算定されるため、単なる「見守りのためだけの滞在」は原則として訪問介護の対象にはなりません。

こうした場合は、見守り的援助として身体介護に組み込める範囲がないか(前述の声かけ・誘導を伴う支援)をケアマネジャーと相談するほか、訪問介護以外の見守りサービス(自治体の見守り事業、民間の見守りサービス、家族が使えるセンサー機器など)と組み合わせる選択肢も検討されます。介護保険サービスだけで全てをカバーしようとせず、複数の手段を組み合わせる発想が実務的です。

08認知症対応を相談する前に確認しておきたいこと

事業所探しの前に、以下を整理しておくとケアマネジャーとの相談や事業所への問い合わせがスムーズになります。

  • 本人の要介護認定の有無・要介護度(未認定なら先に申請)
  • 認知症の診断の有無、かかりつけ医・専門医の情報
  • 徘徊や拒否など行動・心理症状(BPSD)の有無と頻度
  • 同居家族の有無と、家事を担えない具体的な事情
  • 服薬管理や通院同行など、身体介護面で必要な支援

これらを整理したうえで、「介護ほうもんさーち」の事業所検索や相談窓口を使って、認知症対応の実績がある訪問介護事業所を探すのがおすすめです。事業所ごとの体制や実績は個別に確認が必要なため、気になる事業所があれば問い合わせやAIコンシェルジュでの相談から始めてみてください。

FAQ

このガイドのよくある質問

使える場合があります。訪問介護の利用条件は認知症の診断そのものではなく要介護認定です。物忘れなどが気になる段階でも、要介護認定の調査を受けて認定されれば利用対象になります。まずは地域包括支援センターや市区町村の窓口に相談してください。
同居家族がいても、その家族が障害・疾病その他のやむを得ない事情で家事を行うことが困難な場合は生活援助を利用できます。仕事で日中不在、高齢や持病で家事が難しいといった事情をケアマネジャーに伝え、ケアプランに位置づけてもらうことが必要です。
事業所の人員体制や経験によって対応可否が分かれることがあります。行動・心理症状(BPSD)の状況を事前に正直に伝え、認知症対応の実績がある事業所かどうかをケアマネジャーや事業所への問い合わせで確認することをおすすめします。
本人の意思決定能力に応じて、まずは本人への丁寧な説明と意思確認が基本とされています。判断が難しい場合は家族やケアマネジャー、必要に応じて成年後見制度も含めたチームで支援する考え方が厚生労働省のガイドラインで示されています。詳細は事業所や地域包括支援センターに相談してください。
訪問介護は具体的な援助行為に対して算定されるため、援助を伴わない見守りのみの滞在は原則対象外です。声かけや誘導を伴う見守り的援助として組み込めないかケアマネジャーに相談するか、自治体や民間の見守りサービスとの併用を検討してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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