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積雪地域で訪問介護を利用する確認ポイント

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

積雪や大雪でヘルパーが来られない不安に対し、通常の事業の実施地域・サービス提供困難時の代替措置・除雪の生活援助該当性・自治体の福祉除雪など確認先を整理し、事業所探しとケアマネ相談での聞き方を解説します。

01雪の日、訪問介護は来てもらえるのか。まず知っておきたいこと

大雪の予報が出ると「明日ヘルパーさんは来られるのだろうか」という不安が真っ先に浮かびます。結論から言うと、雪の日に訪問介護がどう対応するかは事業所ごと、そして当日の道路状況ごとに判断が変わるため、「必ず来られる/来られない」という一律の答えはありません。訪問時間の前後変更、内容の一部調整、他のヘルパーへの振り替えなど、対応の幅は事業所の体制次第です。

過去には大雪による災害時に、厚生労働省老健局が介護報酬等の柔軟な取扱い(基準緩和等)を事務連絡で示した例もあります。これは要介護高齢者や介護サービス事業所が大雪により被災した場合を想定し、人員基準の緩和や、避難先でのサービス提供に関する柔軟な取扱いなどを示したものでしたが、あくまで大雪災害時の臨時的な措置であり、毎年の大雪すべてに自動的に適用されるものではありません。制度上の特例が動いているかどうかは、その時々の状況によって異なるため、事業所やケアマネジャー、必要であれば市区町村に直接確認するのが確実です。

この記事では「雪で来られないかもしれない」という不安を、感情のまま抱え込まず、確認すべき窓口と手順に分解していきます。まず押さえておきたいのは、通常時の相談窓口はケアマネジャー(居宅介護支援事業所)、緊急時や制度面の特例は自治体の高齢福祉担当課、そして日々の訪問の可否そのものは契約している訪問介護事業所、という三者の役割分担です。積雪が多い地域で暮らす、あるいは積雪地域に住む家族を遠方から支える場合は、この記事を通じて「誰に何を聞けばよいか」を整理してから、事業所探しやケアマネ相談に臨んでいただければと思います。特に雪の少ない地域から引っ越してきたばかりの家族にとっては、冬の間だけ生活の前提が変わることに戸惑うことも多いため、早めに地域の事情を知っておくことが安心につながります。

02訪問介護事業所の「通常の事業の実施地域」を確認する

訪問介護事業所を選ぶときにまず確認したいのが「通常の事業の実施地域」です。指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第29条第5号により、事業所は運営規程でこの実施地域をあらかじめ定めることが義務付けられています。自宅の住所がこの実施地域に含まれているかどうかは、契約前に必ず確認すべき最重要ポイントの一つです。

積雪地域では、除雪状況によって道路の通行しやすさが冬季と夏季で大きく変わることがあります。実施地域そのものは季節で変わるものではありませんが、「実施地域の中でも、除雪が遅れる集落や坂道が多いエリアでは冬季の訪問時間が読みにくい」といった実務上の事情を事業所が持っている場合があります。これは制度上の記載事項ではないため、重要事項説明書だけでは分からないことも多く、面談や見学の際に「冬場、雪が多いときの訪問実績」を具体的に尋ねるのがおすすめです。

同基準第20条第3項では、実施地域外でサービス提供を受ける場合に交通費の実費を利用者が負担できる旨が定められています。積雪期に迂回ルートを使う、除雪が済むまで待機してから向かうといった対応が交通費にどう反映されるかは事業所ごとの運用によるため、「実施地域内か」「実施地域外なら交通費はどうなるか」の2点を、契約前にケアマネジャーと一緒に確認しておくと安心です。

事業所探しの段階では、複数の候補を比較する際に「実施地域の範囲」と「地域内でも積雪期に訪問が難しくなりやすい場所があるか」をセットで質問すると、実態に近い情報が得られます。特に山間部や海沿いの集落など、除雪の優先順位が地域内でも異なる場合があるため、自宅の具体的な立地条件を伝えたうえで確認するのがおすすめです。事業所詳細ページに実施地域の記載がある場合も、最終的な可否は事業所への直接確認が必要になります。

03サービス提供が難しいと判断されたときの仕組みを知っておく

指定基準第10条は、指定訪問介護事業者が適切なサービス提供が困難と判断した場合に、居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)への連絡や他の指定訪問介護事業者の紹介など、必要な措置を速やかに講じなければならないと定めています。これは積雪に限った規定ではなく、訪問介護全般に関する一般原則ですが、「その日どうしても訪問できない」という事態が起こり得ることを前提に、事業所には代替手段を用意する義務があるということです。

積雪地域で暮らす場合は、この「代替手段」が具体的にどのようなものかを、契約時やサービス担当者会議の場で確認しておくと、いざというときに慌てずに済みます。例えば、訪問時間を数時間ずらす、近隣の系列事業所やヘルパーを応援に回す、家族による一時的な対応をお願いする、といった選択肢が事業所ごとに異なります。「大雪の日はどう連絡をもらえるのか」「訪問が遅れる・できない場合の一次連絡先は誰か」を、緊急連絡網の確認と合わせて聞いておきましょう。

なお同基準第23条は、緊急やむを得ない場合を除き身体拘束等を禁止し、実施時の記録を義務付けています。これは積雪時の特例ではなく訪問介護全体に関わる一般原則ですが、「緊急時にどのような対応方針を事業所が持っているか」を知る手がかりとして参考にできます。いずれにせよ、積雪時特有の運用ルールは事業所ごとに差があるため、断定的な情報だけを鵜呑みにせず、必ず個別に確認することが大切です。

事業所を比較検討する段階では、「サービス提供が困難になった実績が過去にあるか」「その際どのような代替措置をとったか」を具体的に尋ねてみましょう。答えに具体性がある事業所は、積雪期の運用体制が整っている可能性が高いといえます。また、ケアマネジャーは複数の事業所の実情を把握していることが多いため、地域の中で積雪時の対応に定評がある事業所がないか、率直に相談してみるのも一つの方法です。

04生活援助に「除雪・雪かき」を頼めるかを整理する

「玄関前の雪かきをヘルパーさんにお願いできないか」という相談は積雪地域でよく聞かれます。ここで根拠になるのが老計第10号(訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について、平成12年3月17日、最終改正平成17年6月29日)です。老計第10号は生活援助を「身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助(そのために必要な一連の行為を含む)であり、利用者が単身、家族が障害・疾病などのため、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行われるもの」と定義し、具体的な内容として掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理・被服の補修、一般的な調理・配下膳、買い物・薬の受け取りなどを挙げています。

一方、生活援助に含まれない行為として老計第10号が明記しているのは「(1)商品の販売・農作業等生業の援助的な行為」「(2)直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為」の2類型のみで、除雪・雪かきを名指しした記載は本文中にありません。つまり「除雪は生活援助でできる」「できない」のどちらも、老計第10号の本文だけからは断定できないというのが実情です。

このため、除雪をヘルパーに依頼したい場合は、まず担当のケアマネジャーと契約先の事業所に「玄関前・通路の除雪はケアプラン上の生活援助として対応可能か」を具体的に確認する必要があります。事業所や自治体の解釈によって扱いが異なる可能性があるため、この記事の内容だけで判断せず、必ず個別に問い合わせてください。訪問介護以外の選択肢(自治体の福祉除雪サービス等)は後の章で整理します。

問い合わせの際は「毎日の玄関先の軽い除雪」なのか「屋根の雪下ろしのような大掛かりな作業」なのかを分けて伝えることも大切です。後者は危険を伴う専門的な作業であり、そもそも訪問介護の想定する生活援助の範囲を超える可能性が高いと考えられます。事業所探しの段階から「除雪を含めて相談したい」と伝えておくと、その事業所の対応方針や、対応できない場合の他の相談先を早めに教えてもらえることもあります。

05通院の送迎や外出介助が積雪で難しいときの確認ポイント

通院等乗降介助や外出介助は、車両や徒歩での移動を伴うサービスです。積雪や路面凍結で道路事情が悪化すると、平常時と同じ時間・ルートでの送迎が難しくなることがあります。運行の可否や代替手段は事業所の車両体制、スタッドレスタイヤやチェーンの装備状況、ドライバーの判断など、事業所ごとの運用によって異なるため、「雪の日の送迎対応」について事前に確認しておくことをおすすめします。

確認したいのは、悪天候時にどのタイミングで運行可否の連絡が来るか、当日キャンセルとなった場合の振替の仕組みがあるか、の2点です。事業所によっては、積雪期に備えて訪問順序を組み替えたり、除雪が済んだ道路を優先して回るルートを組んでいたりすることもあるため、契約前の面談で「冬季のルート編成の考え方」を聞いてみるのもよいでしょう。特に定期受診や透析など、日程を動かしにくい通院がある場合は、早めにケアマネジャーと相談し、悪天候が予想される時期の受診スケジュールに余裕を持たせられないか、主治医・医療機関にも相談しておくと安心です。近年はオンライン診療を導入する医療機関も増えていますが、対応可否は医療機関ごとに異なるため、これも個別の確認が必要です。

もし急な体調変化などで緊急の受診が必要になった場合は、訪問介護事業所の対応を待つのではなく、救急要請や医療機関への直接連絡を優先してください。訪問介護はあくまで日常生活を支える制度であり、緊急の医療対応の代わりにはなりません。「日常の通院が難しいとき」と「緊急性が高いとき」の相談先を分けて整理しておくことが、積雪期の安心につながります。

06自治体の除雪支援・福祉サービスとの役割分担を知る

豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年法律第73号)は、積雪が特にはなはだしく産業の発展や住民の生活水準向上が阻害されている地域について、雪害の防除等の総合的な対策を推進することを目的とした法律で、国土交通大臣・総務大臣・農林水産大臣が政令基準と国土審議会の意見に基づき「豪雪地帯」「特別豪雪地帯」を指定する制度があります。ご自身の地域がこの指定を受けているかどうかは、市区町村や都道府県の窓口で確認できます。

この法律に基づく指定とは別に、多くの豪雪地域の自治体では独自の「福祉除雪サービス」を実施しています。例えば札幌市の福祉除雪サービスは、要介護度や世帯状況などを対象要件とし、一戸建てで近隣に援助者がいない世帯向けに提供される自治体独自の福祉事業で、介護保険の訪問介護サービスとは別の枠組みです。対象要件や利用料は自治体ごとに大きく異なり、年度によって制度内容が見直されることもあるため、必ずお住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに直接お問い合わせください。

また要支援1・2の方などが利用できる介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の訪問型サービスには、住民互助による移動支援を行う訪問型サービスDのような枠組みもあります。総合事業は市区町村ごとに内容・単価が異なる仕組みのため、「自分の地域にどんな訪問型サービスがあるか」も合わせて自治体に確認するとよいでしょう。訪問介護(介護保険)と自治体独自の福祉除雪、総合事業は別々の制度である点を押さえ、それぞれの窓口に相談することが大切です。

事業所探しをする際は、訪問介護事業所だけでなく、地域包括支援センターにも「この地域で使える除雪関連の支援制度」を一度まとめて聞いてみることをおすすめします。自治体によっては申請時期や予算の上限が決まっている支援制度もあり、シーズンが始まる前の早い時期に相談しておくことで、いざ大雪が来たときに慌てずに済みます。

07独居・高齢者の除雪事故リスクと、無理をしない備え

国土交通省の資料によれば、雪下ろしなどの除雪作業中の事故は多雪の年で年間1000件以上発生し、死者が100人を超えることもあり、死亡事故の約8割は65歳以上の高齢者が占めているとされています。屋根からの転落や落雪による事故が多く、一人での作業や無理な体勢での作業がリスクを高めます。積雪地域で在宅介護を続ける中では、「本人や同居家族が無理に除雪をしない・させない」という判断そのものが、安全確保の第一歩になります。

訪問介護の生活援助に除雪が含まれるかどうかは前述の通り事業所への確認が必要ですが、いずれにせよヘルパーは除雪の専門作業者ではなく、屋根の雪下ろしのような危険を伴う作業を訪問介護に期待することはできません。屋根の雪下ろしや大掛かりな除雪が必要な場合は、地域のシルバー人材センター、除雪業者、自治体の除雪支援制度など、専門の担い手に相談する方向で検討しましょう。

家族が遠方に住んでいて本人が一人で除雪をしてしまうことが心配な場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーに「除雪時の見守り」も含めて相談してみてください。近隣との顔の見える関係づくりや、自治体の要援護者名簿・声かけ活動の対象になっているかの確認も、事故予防の一つの手段です。積雪期は在宅生活のリスクが平常時と変わる時期でもあるため、「無理をしないための相談先」をあらかじめ複数持っておくことをおすすめします。

訪問介護の利用状況によっては、ヘルパーが訪問時に玄関先の危険な凍結や積雪の状況に気づき、家族やケアマネジャーへ共有してくれることもあります。ただしこれは見守りの一環として自然に生まれる情報共有であり、除雪作業そのものを保証するものではありません。「異変に気づいたら知らせてほしい」という希望がある場合は、事前にケアマネジャーを通じて伝えておくと、事業所側も対応しやすくなります。

08積雪地域で訪問介護事業所を探す・比較するときに確認すること

ここまでの内容を踏まえ、積雪地域で訪問介護事業所を探す・比較検討する際に確認したい項目を整理します。第一に「通常の事業の実施地域」に自宅が含まれているか、含まれていない場合の交通費の扱い。第二に「大雪や道路凍結時の訪問可否の判断基準・連絡のタイミング」。第三に「生活援助として除雪などの依頼にどこまで応じられるか(応じられない場合の代替提案があるか)」。第四に「通院等乗降介助や外出介助が悪天候で運行できないときの振替対応」。第五に「緊急連絡体制と、サービス提供が困難な場合の他事業所紹介の実績」です。

これらは重要事項説明書やパンフレットだけでは分からないことが多いため、見学や初回面談の場で率直に質問することをおすすめします。「去年の大雪のとき、実際にどう対応しましたか」という具体的な聞き方をすると、事業所の実務対応のイメージがつかみやすくなります。介護サービス情報公表システムでは事業所の基本情報や運営状況を確認できるので、比較検討の材料の一つとして活用してください。

最終的には、事業所単独で判断するのではなく、ケアマネジャーを交えたサービス担当者会議の場で、積雪期の対応方針をケアプランに反映しておくと安心です。冬季だけ訪問時間や曜日を調整する、他のサービス(総合事業の訪問型サービスや自治体の福祉除雪等)と組み合わせるなど、地域の制度とケアプランの両輪で備えておくことが、積雪地域で在宅介護を続けるための現実的な確認ポイントになります。

初めて事業所を探す方は、まず地域包括支援センターやケアマネジャーに「積雪期の対応に慣れている事業所」を紹介してもらうところから始めるのも一つの方法です。長年その地域で運営している事業所ほど、冬季の道路事情や地域特有の事情に詳しい傾向があります。焦って一社に決めるのではなく、複数の事業所の話を聞き比べながら、ご本人とご家族が納得できる形を探していただければと思います。

積雪地域で確認しておきたい実施地域の範囲・悪天候時の訪問可否判断・生活援助での除雪対応・通院等乗降介助の運行可否という4項目のチェックリスト図

FAQ

このガイドのよくある質問

訪問時間の変更や他のヘルパーへの振り替えなど、対応は事業所の体制や当日の道路状況により異なり、一律の答えはありません。過去には大雪災害時に厚生労働省老健局が介護報酬等の柔軟な取扱いを事務連絡で示した例もありますが、これはあくまで臨時的な措置です。事前にケアマネジャーと契約先の事業所に、大雪が予想されるときの連絡方法と代替対応の方針を確認しておくと安心です。
老計第10号は生活援助の内容として掃除・洗濯・調理・買い物等を挙げていますが、本文中に除雪を含む・含まないを名指しした記載はありません。依頼したい場合は、玄関先の軽い除雪なのか屋根の雪下ろしのような大掛かりな作業なのかを分けて伝えたうえで、ケアマネジャーと契約先の事業所に、ケアプラン上の生活援助として対応可能かを具体的に確認してください。
訪問介護とは別に、多くの豪雪地域の自治体では独自の福祉除雪サービスを実施しており、地域のシルバー人材センターや除雪業者への相談も選択肢になります。対象要件や利用料、申請時期は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに直接問い合わせて、早めに確認しておくことをおすすめします。
指定基準上、事業所は運営規程で通常の事業の実施地域を定める義務があり、自宅がこの地域に含まれるかどうかが契約前の重要な確認ポイントです。実施地域外の場合は交通費実費が発生し得ます。重要事項説明書だけで判断せず、面談や見学の際に冬季の訪問実績や、地域内でも積雪期に訪問が難しくなりやすい場所がないかを直接尋ねるとよいでしょう。
要支援1・2の方等が利用できる介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型サービスには、住民互助による移動支援を行う訪問型サービスDのような枠組みもありますが、内容や単価は市区町村ごとに異なります。除雪支援そのものは自治体独自の福祉除雪事業が担っていることが多いため、地域包括支援センターや市区町村の窓口へ確認してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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