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重度訪問介護とは?対象者と支援内容(障害福祉の制度)

Published
作成日: 2026年7月1日
Updated
最終更新日: 2026年7月1日

重度訪問介護は障害福祉サービスの一つ。対象者の要件、頼める支援内容、介護保険の訪問介護との違いを一次情報にもとづいて解説します。

01重度訪問介護とは何か

重度訪問介護は、介護保険の訪問介護とは別枠の「障害福祉サービス」です。根拠法は障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)第5条第3項で、重度の肢体不自由者その他の障害者であって常時介護を要する人を対象に、居宅における入浴・排せつ・食事等の介護その他の便宜、および外出時における移動中の介護を総合的に提供するサービスと定義されています。

「総合的に」という言葉がポイントです。介護保険の訪問介護は「身体介護」「生活援助」など内容ごとに時間単位で細かく区分されますが、重度訪問介護は一人のヘルパーが長時間滞在し、介護・家事・見守り・外出支援を状況に応じて柔軟に組み合わせて提供する点が大きな特徴です。実施主体は市区町村(介護保険の要介護認定とは別の障害福祉の窓口)になります。

02対象者の要件(障害支援区分)

重度訪問介護を利用できるのは、障害支援区分が区分4以上であり、かつ次のいずれかに該当する人です。

要件区分内容
(1) 肢体不自由中心二肢以上に麻痺等があり、認定調査項目の「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されている
(2) 行動障害中心行動関連項目等(12項目)の合計点数が10点以上(重度の知的障害・精神障害により行動上著しい困難がある場合)

障害支援区分は、介護保険の要介護度とは異なる障害福祉独自の区分(区分1〜6)で、市区町村の認定調査とコンピュータ判定・審査会を経て決まります。「自分(家族)が対象になるか」は自己判断せず、市区町村の障害福祉担当窓口や相談支援専門員に認定申請の相談をすることが最初の一歩です。

03頼める支援内容

重度訪問介護で頼める支援は、居宅内の身体介護・家事援助に加えて、外出時の移動中の介護まで一体的にカバーします。

  • 身体介護: 入浴、排せつ、食事等の介助
  • 家事援助: 調理、洗濯、掃除等
  • 生活全般の援助: 生活等に関する相談・助言その他の日常生活上の便宜
  • 見守り: 日常生活で生じるさまざまな介護の事態に対応するための待機・見守り
  • 外出時の移動介護: 通院、社会参加、余暇活動などの外出時における移動中の介護

一人のヘルパーが長時間にわたり同一利用者を担当し続けることで、利用者の意思疎通の特性やその日の体調変化を理解した上で支援できる点が、短時間巡回型の訪問介護との違いです。

ただし、外出時の移動介護には対象外となる範囲があります。通勤・営業活動など経済活動に係る外出、通年かつ長期にわたる外出(通所・通学など)、ギャンブルや飲酒を伴う外出など社会通念上適当でない外出は、重度訪問介護の対象にはなりません。「働くための移動支援」や「毎日決まった場所へ通う目的の外出」には使えない点に注意してください。就労・通学に伴う移動支援については、別制度(雇用支援機構の助成金や自治体独自の移動支援事業等)の対象になる場合があるため、該当しそうな場合は市区町村やハローワーク等に別途相談するとよいでしょう。

重度訪問介護の対象者要件と、身体介護・家事援助・生活全般の援助・外出時の移動の介護という支援内容の構造図

04入院中も使えるのか

重度訪問介護のもう一つの特徴は、一定の要件を満たせば、病院等に入院・入所している間も特別なコミュニケーション支援等を利用できることです。障害者総合支援法施行規則では、重度訪問介護を受ける障害者が入院または入所をしている病院、診療所、助産所、介護老人保健施設および介護医療院が対象場所として定められています。

ただし、入院・入所中の利用には次のような要件・制限があります。

  • 対象となる障害支援区分: 原則として区分6の人が対象です。2024年度の報酬改定により、特別なコミュニケーション支援を必要とする場合に限り区分4・5の人にも対象が拡大されました。
  • 入院・入所前からの利用が前提: 入院・入所する前から重度訪問介護を利用しており、本人との意思疎通に習熟したヘルパーが病院等と連携して支援を行う場合に限られます。入院してから新たに重度訪問介護の利用を始めることはできません。
  • 利用できる期間の制限: 入院・入所した病院等での利用を開始した日から起算して、原則90日以内に限られます。90日を超えて支援が必要な場合は、コミュニケーション支援等の必要性について市区町村が認めた場合に限り、一定の条件のもとで継続利用が可能です(超過分は算定される単位数の水準が下がります)。

入院中は、医療行為や療養上の世話は病院スタッフが担いますが、重度訪問介護のヘルパーは利用者本人の意思疎通の支援や、本人の状態を熟知した上での見守り等を担当します。日頃からコミュニケーション支援を受けている利用者にとって、入院という環境変化の中でも普段と同じ支援者が付き添う意義は大きい一方、要件を満たさない場合は入院中の利用ができないケースもあるため、入院が決まった時点で早めに相談支援専門員・事業所・病院側の三者で調整しておくことが不可欠です。

05介護保険の訪問介護との違い

在宅で「ヘルパーに来てもらう」という点は共通していますが、介護保険の訪問介護の制度のしくみとは根拠法・対象者・使える範囲が異なります。

項目介護保険の訪問介護重度訪問介護(障害福祉)
根拠法介護保険法障害者総合支援法
対象者要介護1〜5の認定を受けた高齢者等障害支援区分4以上かつ一定要件(肢体不自由または行動障害)
サービス提供内容ごとに時間区分された訪問長時間・同一ヘルパーによる包括的支援
外出支援通院等乗降介助など限定的移動中の介護を一体的に含む(通勤・経済活動目的等は対象外)
入院中の利用原則対象外区分等の要件を満たせば一定期間(原則90日以内)利用可能

65歳以上で介護保険の要介護認定も受けられる場合、原則として介護保険サービスが優先されますが、重度訪問介護のように障害福祉サービス固有の支援内容がある場合は、市区町村の判断で障害福祉サービスの支給が認められることがあります(いわゆる「上乗せ・横出し」の考え方)。該当する可能性がある場合は、自己判断せず市区町村の障害福祉担当・介護保険担当の両方に相談してください。

なお、介護保険と障害福祉の両方のサービスを同じ事業所でまとめて受けられる共生型サービスという枠組みもあるため、該当しそうな場合はあわせて確認しておくとよいでしょう。

06利用までの流れ

重度訪問介護を利用するには、次のような手順が一般的です。65歳以上で介護保険との優先関係が気になる場合は、介護保険と障害福祉、それぞれの訪問サービスの違いを整理した記事を先に確認しておくと、手続きの進め方をイメージしやすくなります。

  1. 市区町村の障害福祉担当窓口に相談 — 制度の説明を受け、申請書類を確認する
  2. 障害支援区分の認定申請 — 認定調査(訪問調査)とコンピュータ判定、市町村審査会を経て区分が決定する
  3. 相談支援専門員によるサービス等利用計画の作成 — 生活状況や希望を踏まえた計画を作成する
  4. 支給決定 — 市区町村が利用できるサービス量(支給量)を決定する
  5. 事業所との契約 — 重度訪問介護を提供する事業所を選び、契約する

認定調査から支給決定までは一定の期間がかかるため、入院・退院のタイミングや生活の変化が見込まれる場合は早めに相談を始めることが大切です。入院中の利用を見込む場合は、入院前から重度訪問介護の利用を開始しておく必要がある点も踏まえ、支給決定のタイミングを相談支援専門員と確認しておきましょう。

07事業所探しで確認すべきこと

重度訪問介護を提供する事業所は、介護保険の訪問介護事業所と指定が異なる場合があります。事業所を探す際は、重度訪問介護の指定を受けているか、長時間支援や医療的ケアを伴う利用者の受け入れ実績があるかを重要事項説明書や運営規程で確認しましょう。あわせて、入院時支援やコミュニケーション支援に対応できる体制かどうかも、契約前に事業所へ直接確認しておくと安心です。

介護ほうもんさーちの検索では、対応エリアやサービス内容から事業所を絞り込めます。制度の詳細や自分(家族)が対象になるかどうかの判断に迷う場合は、AIコンシェルジュへの相談やお問い合わせから、条件に合う事業所探しのサポートを受けることもできます。

事業所側の立場で重度訪問介護への対応や掲載を検討している場合は、事業者向けの掲載・送客のご案内もあわせてご覧ください。

FAQ

このガイドのよくある質問

65歳以上で要介護認定を受けている場合は介護保険サービスが原則優先されますが、重度訪問介護固有の支援内容(長時間の見守りや外出時の移動介護など)が必要な場合は、市区町村の判断で障害福祉サービスの利用が認められることがあります。個別の判断になるため、市区町村の障害福祉担当・介護保険担当の両方に相談してください。
市区町村の認定調査員による訪問調査と、その結果をもとにしたコンピュータ判定、市町村審査会の審査を経て区分1〜6が決定します。重度訪問介護の対象となるには区分4以上が必要です。まずは市区町村の障害福祉担当窓口で認定申請の相談をしてください。
原則として18歳以上が対象です。例外として、15歳以上18歳未満の障害児(医療的ケア児等)については、児童相談所長が重度訪問介護の必要性を認めた場合に限り利用が認められることがあります。年齢要件に該当するかどうかの具体的な判断は、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に確認するのが確実です。
一定の要件を満たせば利用できます。具体的には、原則として障害支援区分6であること(2024年度の報酬改定により、特別なコミュニケーション支援が必要な区分4・5にも対象が拡大)、かつ入院・入所前から重度訪問介護を利用しており本人との意思疎通に習熟したヘルパーが対応することが条件です。利用できる期間も、入院・入所先での利用開始日から原則90日以内という制限があります。医療行為や療養上の世話は病院スタッフが担当し、ヘルパーは意思疎通の支援や見守りを担当します。要件を満たすかどうかは個別の判断が必要なため、入院が決まった時点で早めに相談支援専門員・事業所・病院に相談してください。
重度訪問介護の指定を受けている事業所は、介護保険の訪問介護事業所と異なる場合があります。介護ほうもんさーちの検索で対応エリアやサービス内容を確認したり、重要事項説明書で長時間支援・入院時支援の実績を確認したりすることをおすすめします。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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