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介護保険と障害福祉の訪問サービスの違い(重度障害の家族向け)

Published
作成日: 2026年7月1日
Updated
最終更新日: 2026年7月1日

重度障害のある家族がいる方向けに、介護保険の訪問介護と障害福祉の重度訪問介護の違い、65歳以降の優先関係、併用の考え方をわかりやすく整理します。

01介護保険の訪問介護と重度訪問介護は制度が別物

介護保険の訪問介護と、重度訪問介護は、根拠となる法律も申請窓口も別の制度です。介護保険の訪問介護は介護保険法に基づき、65歳以上(または40〜64歳で特定疾病)で要介護認定を受けた方が対象になります。一方、重度訪問介護は障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、身体障害・知的障害・精神障害などにより常時介護を要する方が対象です。年齢では区切られておらず、18歳以上の障害者(一部要件を満たせば18歳未満も対象)が利用できます。

窓口も異なり、介護保険は市区町村の介護保険担当課・ケアマネジャーを通じて、障害福祉サービスは市区町村の障害福祉担当課を通じて申請します。同じ「訪問して身の回りの介護をする」サービスに見えても、認定の物差しも支給決定の仕組みも別という点をまず押さえておくと、その後の手続きで迷いにくくなります。

介護保険の訪問介護と障害福祉の重度訪問介護について、根拠法・対象者・支援内容を対比し、原則は介護保険が優先されることを示す2枠比較図

02対象者の要件はどう違うか

介護保険の訪問介護は、要介護1〜5の要介護認定を受けていることが条件です(要支援の方は「訪問型サービス」など別の枠組みになります。誰が対象になるかの詳しい条件は「訪問介護は誰が使える?対象と要介護度」でも整理しています)。

一方の重度訪問介護は、障害支援区分4以上であり、かつ重度の肢体不自由(歩行・移乗・排尿・排便のいずれも支援が必要)または行動上著しい困難(行動関連項目等が一定点数以上)のいずれかに該当することが要件です。要介護度とは判定の物差しがまったく別であるため、「要介護度がいくつだから重度訪問介護が使える/使えない」とは判断できません

障害支援区分の認定は、要介護認定とは別に市区町村の障害福祉担当課で申請・審査を受ける必要があります。詳しい要件区分・支援内容は「重度訪問介護とは?対象者と支援内容」で解説しています。ここでは「家族としてどちらの制度の対象になりそうか、どこに相談すればよいか」を押さえておいてください。

03受けられる支援の範囲と時間の考え方

介護保険の訪問介護は、身体介護・生活援助のメニューごとに1回あたりの目安時間が定められており、短時間で区切って複数回訪問する運用が一般的です。

重度訪問介護は、入浴・排せつ・食事等の介護や家事援助に加えて、外出時の移動中の介護、そして見守りを含む長時間・継続的な支援が制度上想定されている点が大きな違いです。1人のヘルパーが長時間にわたって同じ利用者に対応する形が基本で、日常生活のさまざまな場面に柔軟に対応できるよう設計されています。

どちらも「何を・どこまで頼めるか」は個々の支給決定(介護保険なら区分支給限度額、障害福祉なら支給量)によって変わります。実際に使える時間・回数は、ケアマネジャーや相談支援専門員との相談、事業所の重要事項説明書で必ず確認してください。なお、寝たきり・全介助の状態でも介護保険の訪問介護は在宅のまま利用できます。詳しくは「寝たきり・全介助でも在宅で訪問介護は使える」で解説しています。

04介護保険優先の原則とは

障害者総合支援法第7条には、介護保険と障害福祉の両方に相当するサービスがある場合、原則として介護保険を優先して利用するという「保険優先の考え方」が定められています。これは主に65歳到達時(または40〜64歳で特定疾病により要介護認定を受けた場合)に問題になります。

ただし、一律に介護保険への切り替えを強制するものではありません。厚生労働省の通知では、介護保険サービスのみでは必要な支援量を確保できないと市区町村が判断した場合、不足分を障害福祉サービスで上乗せ利用できるとされています。また、重度訪問介護のように介護保険に相当するサービスがない、または機能が大きく異なる「障害福祉サービス固有」の支援については、65歳以降も継続利用が認められる場合があります。

この判断は市区町村ごとの運用に委ねられている部分があるため、65歳が近づいたら早めに障害福祉担当課とケアマネジャー双方に相談することが重要です。

0565歳前後で何が変わるか(家族が準備すべきこと)

65歳到達(または特定疾病による要介護認定)が近づくと、次のような変化が生じる可能性があります。

  • 利用者負担の考え方が変わることがある(障害福祉は所得等に応じた負担上限、介護保険は原則1〜3割負担)
  • サービス内容や支給量が変わることがある(介護保険のみに移行すると、重度訪問介護で受けていた長時間・見守り型の支援が受けにくくなる場合がある)
  • ケアマネジャーと相談支援専門員の両方に関わってもらう必要が生じる場合がある

変化の内容は市区町村や個々の状態像によって異なるため、「介護保険に切り替わったら重度訪問介護は使えなくなるのか」を早めに障害福祉担当課に確認することをおすすめします。高齢に伴い認知症の症状が加わってくるケースもあり、その場合は認知症のある家族への訪問介護の頼み方(認知症の家族に訪問介護は頼める?)もあわせて確認しておくと、移行後の支援の組み立てがイメージしやすくなります。移行時に支援が途切れないよう、余裕をもって相談を始めることが安心につながります。

06同じ事業所で両方使える「共生型サービス」という選択肢

2018年4月から始まった共生型サービスという仕組みでは、介護保険または障害福祉のどちらか一方の指定を受けている事業所が、特例によりもう一方の制度の利用者にも同じ場所でサービスを提供できます。対象となるのはホームヘルプ(訪問介護・居宅介護等)、デイサービス、ショートステイの3分野です。

この仕組みにより、障害福祉サービスを長く利用してきた方が65歳を迎えても、同じ事業所・同じ担当者のもとでサービスを継続しやすくなるというメリットがあります。ただし、すべての事業所が共生型の指定を受けているわけではないため、対応の可否は事業所ごとの確認が必要です。

07事業所選びで確認しておきたいこと

重度障害のある家族の訪問介護・重度訪問介護を検討する際は、次の点を事業所や相談窓口に確認しておくと安心です。

  • 介護保険の訪問介護・障害福祉の重度訪問介護(または居宅介護)の両方の指定を持っているか
  • 共生型サービスの指定があり、65歳以降も同じ事業所で継続利用できるか
  • 長時間・見守りを含む対応に慣れたヘルパーが確保できるか
  • 医療的ケアなど、状態像に応じた対応実績があるか

本人が一人暮らしの場合は、緊急時の連絡体制や安否確認の仕組みも確認しておきたいポイントです。一人暮らしならではの利用の組み立て方は「独居高齢者の訪問介護の使い方」でも触れているので、家族が離れて暮らしているケースの参考にしてください。重要事項説明書や運営規程には、事業所が対応できるサービス区分が明記されています。「介護保険ほうもんさーち」では、対応サービスや実施エリアで事業所を絞り込んで検索できます。気になる事業所が見つかったら、まずは重要事項説明書の確認や問い合わせから始めてみてください。

08まとめ:制度の違いを知って早めの相談を

介護保険の訪問介護と障害福祉の重度訪問介護は、根拠法・対象者・支援の範囲がそれぞれ異なる別の制度です。65歳前後では介護保険優先の原則が働きますが、市区町村の判断により障害福祉サービスの併用や継続利用が認められる場合もあります。

最も大切なのは、変化が起きる前に、ケアマネジャーと相談支援専門員の両方に早めに相談することです。制度の切り替わりで必要な支援が途切れないよう、余裕を持った準備を心がけましょう。

FAQ

このガイドのよくある質問

65歳未満で障害福祉サービスのみを利用している場合は、通常は障害福祉サービス(重度訪問介護)のみの利用です。65歳以降や特定疾病で要介護認定を受けた場合は介護保険が優先されますが、介護保険サービスだけでは必要な支援量を確保できないと市区町村が判断した場合、不足分を障害福祉サービスで補う形での併用が認められることがあります。詳細は市区町村の障害福祉担当課にご確認ください。
一律に打ち切られるわけではありません。介護保険に相当するサービスがない、または機能が大きく異なる障害福祉サービス固有の支援については、65歳以降も継続利用が認められる場合があります。市区町村ごとに運用の判断が異なるため、65歳到達前に早めに障害福祉担当課へ相談することをおすすめします。
障害支援区分4以上であり、かつ(1)二肢以上の麻痺等があり歩行・移乗・排尿・排便のいずれも支援が必要と認定されている、または(2)行動関連項目等の合計点数が10点以上、のいずれかに該当する方が対象です。障害支援区分の認定は市区町村の障害福祉担当課で行います。
2018年に始まった「共生型サービス」の指定を受けている事業所であれば、介護保険と障害福祉どちらの制度の利用者にも同じ場所でサービスを提供できます。65歳を迎えても同じ事業所・担当者で継続利用しやすくなりますが、すべての事業所が対応しているわけではないため、事業所ごとの確認が必要です。
お住まいの市区町村の障害福祉担当課です。介護保険の要介護認定とは別の手続きで、障害支援区分の認定調査を受ける必要があります。介護保険の訪問介護(要介護認定・ケアマネジャー相談)とは窓口が異なる点にご注意ください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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