訪問介護を利用していると、介護保険が給付するサービス費のほかに、利用者が自己負担で支払う「実費」が話題になることがあります。代表的なものが交通費です。訪問介護の基本的な仕組みでは、ヘルパーが自宅を訪問して行う身体介護・生活援助などのサービス費は介護保険から給付され、利用者は所定の自己負担割合(1〜3割)を支払います。これに対し、交通費のように保険給付の対象に含まれない費用は、一定の条件のもとで事業所が利用者から実費として別途受け取ることが認められています。
ただし「一定の条件」がポイントです。運営基準(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準=平成11年厚生省令第37号)では、交通費を利用者から受け取れる場面を限定しており、どんな訪問でも自由に交通費を上乗せできるわけではありません。またこの記事で扱うのは、要介護1〜5の方が利用する訪問介護を中心とした内容です。要支援の方向けの「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の訪問型サービスは市区町村ごとに基準が異なり、障害福祉制度である重度訪問介護とも仕組みが別物です。この違いは記事の後半で改めて整理します。
事業所探しやケアマネジャーへの相談の段階では、「交通費がかかるのか、かかるとしたらどんな時か」「重要事項説明書にどう書かれているか」を確認することが、後々の請求トラブルを避ける一番の近道になります。次章以降で、条件と確認の仕方を具体的に見ていきます。

