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都市部で訪問介護事業所を探すポイント

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

都市部は訪問介護事業所の選択肢が多い一方、時間帯の空きや建物の入退館対応など確認事項も増えます。制度の整理から公的システムでの比較の仕方、地域包括支援センターへの相談、確認すべき実務ポイントまで、家族が迷わず進められるよう解説します。

01都市部での訪問介護事業所探しが「選べるからこそ難しい」理由

都市部は訪問介護事業所の数そのものが多く、選択肢の幅は地方に比べて広いのが一般的です。ただし、選択肢が多いことは「探しやすさ」と必ずしも一致しません。事業所数が多いエリアでは、逆にどこから比較を始めればよいか分からず、検索や資料集めだけで時間がかかってしまうことがあります。

また、都市部では利用希望者の数自体も多いため、事業所によっては早朝・夕方・土日など人気の時間帯の訪問枠に空きがないケースも考えられます。この点は事業所ごとの体制やその時々の状況によって変わるため、「都市部だから必ず空きがある/ない」と一概には言えません。実際にどの曜日・時間帯に余裕があるかは、事業所に直接確認する必要がある事項です。

さらに、マンションやオートロック付き集合住宅など都市部特有の住環境では、ヘルパーの入退館方法(鍵の受け渡し、管理人への連絡、インターホン対応など)が事業所や物件によって異なります。これも一次情報として一律の基準は示されておらず、あくまで「事業所ごとに個別確認が必要な事項」として扱うのが実務的です。

こうした事情から、都市部で事業所を探す際は、闇雲に候補を集めるのではなく、最初に「自分たちが何を比較の軸にするか」(対応地域、サービス内容、時間帯の希望、建物の対応可否など)を整理してから、公的な情報源や相談窓口を使って絞り込んでいく進め方がおすすめです。次の章では、比較の前提となる制度の全体像を整理します。

都市部は事業所数が多く選択肢が広い一方で比較の基準が課題になる特徴と、制度の整理・公的システムでの比較・サービス区分の確認という3つの確認ポイントを示す図

02まず整理したい制度の全体像:訪問介護・総合事業・重度訪問介護の違い

訪問介護事業所を探す前に、自分(またはご家族)がどの制度の対象になるのかを整理しておくと、探し方がぶれません。名称が似ているために混同されやすい3つの制度を区別しましょう。

1つ目は、介護保険法に基づく「訪問介護」です。要介護1〜5の認定を受けた方が対象で、都道府県知事等の指定を受けた事業者がサービスを提供します。ヘルパーによる身体介護・生活援助などが該当し、本ガイドで主に扱う制度です。

2つ目は、「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の訪問型サービスです。要支援1・2の方や、基本チェックリストで支援が必要と判断された方が対象になります。総合事業は市町村が地域の実情に応じてサービス内容・基準・利用の単価を定める仕組みのため、内容は市区町村ごとに異なります。都市部の大都市であっても、区や市によって提供体制が違う場合があるため、「総合事業だから全国一律」と考えず、必ずお住まいの市区町村へ確認してください。

3つ目は、「重度訪問介護」です。これは介護保険ではなく、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで、重度の肢体不自由等により常時介護を要する方(障害支援区分に該当する方)が対象です。根拠法・対象者・申請窓口が訪問介護とは全く異なるため、高齢者向けの訪問介護と同一に語ることはできません。

どの制度に該当するか分からない場合は、まず市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談し、対象制度を確認したうえで事業所探しを始めるのが確実です。制度を取り違えたまま事業所に問い合わせると、案内される情報がずれてしまうことがあります。

03一次情報で比較する:介護サービス情報公表システムの使い方

事業所を横並びで比較する際に基本となるのが、厚生労働省が所管する「介護サービス情報公表システム」です。この制度は介護保険法に基づき平成18年4月に始まったもので、都道府県・指定都市が公表主体となり、利用者が介護サービス事業所を比較・検討できるよう情報を提供する仕組みです。

システムには「基本情報」と「運営情報」の2種類の情報が掲載されています。基本情報には事業所名・所在地・職員体制・利用料金の目安などが含まれ、運営情報にはサービス内容や運営状況に関する情報が含まれます。都市部では対象となる事業所数が多いため、目的や場所を指定した検索、対話形式の検索、詳細条件を指定した絞り込み検索など、複数の検索方法を使い分けると効率的です。

具体的な使い方としては、まず「サービス種類(訪問介護)」と「お住まいの市区町村」で絞り込み、候補が多い場合はさらに職員体制や対応可能なサービス内容などの条件を重ねていきます。厚生労働省は「消費者のための介護サービス情報ガイド」も公開しており、公表情報の読み方や比較検討のポイントを整理する際の参考になります。

なお、このシステムに掲載されている料金情報はあくまで「目安」であり、実際の自己負担額や個別の空き状況までは分かりません。具体的な金額・空き状況・対応可否は、比較で候補を絞り込んだ後に、事業所へ直接問い合わせて確認する必要があります。公表システムは「候補を洗い出し、比較の土台を作る」段階のツールと捉えてください。

04地域包括支援センター・ケアマネジャーに相談する意味

公的システムでの比較と並行して、地域包括支援センターやケアマネジャーへの相談も活用しましょう。地域包括支援センターは介護保険法に基づき市区町村(特別区や広域連合を含む)が設置する機関で、総合相談支援業務・介護予防ケアマネジメント業務・権利擁護業務・包括的継続的ケアマネジメント支援業務を担います。概ね中学校区を基本とする日常生活圏域ごとに設置されており、厚生労働省の公表によると令和7年4月末時点で全国に5,487か所(支所等を含めると7,374か所)設置されています。都市部は人口が多い分、圏域ごとのセンター数も多い傾向にあるため、まずは「お住まいの住所を担当するセンターはどこか」を確認するところから始めるとよいでしょう。

要支援1・2の方は、地域包括支援センター(またはその委託を受けたケアマネジャー)がケアプランを作成し、訪問型サービス等の事業所と連携します。すでに要介護認定を受けてケアマネジャーが決まっている方は、ケアマネジャーが地域の事業所情報や空き状況に通じていることが多く、複数の事業所情報を提示してもらえる仕組みになっています。

ここで知っておきたいのは、ケアマネジャーが紹介する事業所が特定の系列に偏らないよう、公正中立性を担保する制度上の仕組みが設けられているという点です。具体的な運用の詳細や基準は改定により変わり得るため、断定的な数値等はここでは扱いませんが、「なぜこの事業所を勧めるのか」「他の候補はあるか」を家族側から尋ねること自体は問題ありません。都市部で選択肢が多いからこそ、専門職の目を通した比較を組み合わせることで、公表システムだけでは見えない実務的な相性(曜日の空き、建物対応の実績など)まで確認しやすくなります。

05サービス内容を理解して確認する:身体介護と生活援助の区分

事業所を比較する際は、料金や場所だけでなく「どのサービス区分に対応しているか」も重要な確認ポイントです。訪問介護のサービス行為は、厚生労働省の通知である老計第10号(訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について)に基づき、身体介護・生活援助・見守り的援助などに区分されています。平成30年3月30日の改正(老振発0330第2号等)では、自立生活支援のための見守り的援助の内容が明確化され、例示内容の見直し・拡充が行われました。

身体介護は入浴・排泄・食事などの介助、生活援助は掃除・洗濯・調理など日常生活の支援を指しますが、細かな線引きは個々の状況によって変わります。特によく質問が出るのが「同居家族がいる場合に生活援助を頼めるか」という点です。厚生労働省の通知「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」では、同居家族がいることをもって一律に生活援助を認めないという画一的な運用を否定し、家族の介護力等の個別事情を総合的に勘案して判断すべきとされています。つまり「同居家族がいるから絶対に頼めない」とは言い切れず、状況次第で認められる場合があるということです。

都市部では核家族・単身世帯だけでなく、同居家族がいる世帯からの相談も多く寄せられます。「この家事は生活援助として頼めるのか」「見守り的な声かけをお願いできるか」といった個別の判断は、事業所のサービス提供責任者やケアマネジャーに、具体的な生活状況を伝えたうえで確認するのが確実です。ガイド段階で「頼める・頼めない」を断定することはできないため、迷った場合は必ず個別相談を挟む前提で候補事業所を選んでください。

06医療的なケアが必要な場合に確認すべきこと

持病があり日常的に医療的なケアが関わる場合は、事業所選びの際にもう一段踏み込んだ確認が必要です。まず整理しておきたいのが「医行為」の線引きです。平成17年7月26日付の医政発第0726005号(厚生労働省医政局長通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」)では、水銀体温計・電子体温計による腋下での体温測定、耳式電子体温計による外耳道での体温測定、自動血圧測定器による血圧測定などは、原則として医行為に該当しないと整理されています。ただし、これは「ヘルパーが医療行為全般を行える」という意味ではなく、あくまで限定的な行為についての整理である点に注意してください。同通知では、医薬品の使用の介助についても、患者の容態が安定していることや医師・看護職員による専門的な経過観察を要しないことなど一定の条件を満たし、事前に医師の処方を受け、薬剤師の服薬指導を踏まえた上で行う場合に限り、原則として医行為に該当しないものとして整理されています。

たんの吸引や経管栄養など、より専門的な医療的ケア(喀痰吸引等)が必要な場合は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく制度により、(1)喀痰吸引等研修の修了、(2)都道府県知事による「認定特定行為業務従事者」の認定、(3)事業所が「登録特定行為事業者」として都道府県に登録、という3つの要件をすべて満たした場合に限り、介護職員等が実施できます。事業所を探す段階では、「この事業所は喀痰吸引等に対応した登録特定行為事業者か」を確認事項の1つとして持っておくとよいでしょう。

また、服薬については「介助」と「管理」を分けて考える必要があります。声かけや服薬の見守りといった介助的な関わりと、薬の量や飲むタイミングそのものを管理する行為とでは、事業所が対応できる範囲が異なります。具体的にどこまで対応可能かは事業所ごとに、また主治医の指示内容によっても変わるため、断定はできません。医療的ケアに関する希望がある場合は、比較の初期段階から候補事業所・主治医・ケアマネジャーの三者に具体的に確認する姿勢を持ちましょう。

07都市部ならではの実務チェックポイント

制度面の整理ができたら、都市部特有の実務的な確認ポイントに移ります。まず重要なのが、事業所の「通常の事業の実施地域」です。訪問介護事業所は都道府県知事等の指定を受けて運営されており、住んでいる市区町村以外の事業所でもサービスを利用できる場合があります。ただし各事業所には対応可能なエリア(通常の事業実施地域)が定められており、その地域外への訪問時には交通費が実費負担となる場合があります。都市部は行政区や隣接自治体の境界が入り組んでいることも多いため、「自宅がその事業所の対応エリアに入っているか」は候補ごとに個別確認が必要です。

次に、マンション・オートロック付き集合住宅などの入退館対応です。鍵の受け渡し方法、管理人室を通す必要があるか、宅配便と同様のインターホン対応で入館できるかなどは、建物の管理規約と事業所側の運用の両方に左右されます。この点について一律の基準を示す一次情報はないため、「事業所に確認する事項」として扱ってください。実際に問い合わせる際は、建物の入退館方法を具体的に説明し、過去に同様の建物での訪問実績があるかを尋ねると判断材料になります。

もう1つ、都市部で見落とされがちなのが、需給状況そのものの確認です。事業所数が多くても、希望する曜日・時間帯(特に早朝・夕方・土日)は他の利用者との兼ね合いで埋まっていることがあります。「事業所数が多いから大丈夫」と決めつけず、候補ごとに直接、希望する曜日・時間帯の空き状況を尋ねるようにしてください。これらの実務チェックポイントは、いずれも事業所ごとの個別事情に左右されるため、複数候補を横並びで問い合わせて比較することをおすすめします。

08比較検討から契約までの流れと相談窓口の使い分け

最後に、比較検討から契約までの全体の流れと、相談窓口の使い分けを整理します。介護保険の訪問介護を利用する場合、まず市区町村窓口で要介護認定を申請し、認定結果に基づいてケアマネジャー(要支援の場合は地域包括支援センター)がケアプランを作成します。そのケアプランに沿って訪問介護事業所と契約し、サービス利用がスタートするというのが大まかな流れです。総合事業の対象となる場合は、この手続きの一部が市区町村ごとの運用に置き換わるため、対象となるかどうかも含めて窓口に確認してください。

相談窓口は目的によって使い分けると効率的です。介護サービス情報公表システムは、事業所の基本情報・運営情報を横並びで比較し候補を洗い出す段階に向いています。地域包括支援センターは、まだ要介護認定を受けていない、あるいは何から始めればよいか分からない段階での総合的な相談先です。すでにケアマネジャーが決まっている場合は、ケアマネジャーが個別の事情を踏まえた事業所調整の窓口になります。市区町村の窓口は、総合事業の内容や認定手続きなど、自治体ごとに異なる制度運用を確認する際に頼る先です。

どの窓口を使う場合も共通して言えるのは、事業所個別の評価・具体的な空き状況・料金の断定的な情報は、ガイド記事やインターネット上の情報だけでは分からず、必ず事業所または自治体への直接確認が必要だということです。都市部は選択肢が多い分、比較の軸をあらかじめ持ち、公的な情報源と専門職への相談を組み合わせることで、遠回りせずに自分たちに合う事業所にたどり着きやすくなります。介護ほうもんさーちの検索機能でも、お住まいの地域から事業所を一覧で比較できますので、候補の洗い出しに活用してください。

FAQ

このガイドのよくある質問

まず対応地域(自宅がサービス提供エリアに入るか)、対応可能なサービス区分(身体介護・生活援助等)、希望する曜日・時間帯の空き状況の3点を軸に候補を絞ると比較しやすくなります。厚生労働省の介護サービス情報公表システムで基本情報を横並びに比較したうえで、候補が絞れたら地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、専門職の視点も加えて最終判断することをおすすめします。
訪問介護は要介護1〜5の方が対象の介護保険サービスです。要支援1・2の方は、市町村が地域の実情に応じて内容・基準を定める「介護予防・日常生活支援総合事業」の訪問型サービスの対象となる場合があります。総合事業の内容は市区町村ごとに異なるため、対象になるか、どのようなサービスが受けられるかは、お住まいの市区町村や地域包括支援センターへ確認してください。
厚生労働省の通知では、同居家族がいることをもって一律に生活援助を認めないという画一的な判断は否定されており、家族の介護力など個別事情を総合的に勘案して判断するとされています。「同居家族がいれば絶対に頼めない」とは言い切れないため、具体的な生活状況を伝えたうえで、事業所やケアマネジャーに個別に確認してください。
オートロック等の入退館対応は建物の管理規約と事業所の運用の両方に左右されるため、一律の基準はありません。鍵の受け渡し方法や管理人室を通す必要の有無など、建物の入退館方法を具体的に伝えたうえで、候補の事業所に個別に対応可否を確認することをおすすめします。
平成17年の厚生労働省医政局長通知により、体温計や自動血圧測定器を用いた測定は原則として医行為に該当しないと整理されています。ただし服薬については「介助」と「管理」で対応範囲が異なり、たんの吸引等の医療的ケアには研修修了や事業所登録などの要件があります。具体的にどこまで対応できるかは、事業所・主治医・ケアマネジャーへの確認が必要です。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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