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介護ほうもんさーち
在宅介護の続け方

住宅改修と訪問介護を一緒に考えるポイント

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

手すり設置や段差解消などの介護保険の住宅改修は、訪問介護と切り離さず同時に見直すのがコツです。事前申請の流れや賃貸住宅の注意点、ケアマネジャー・事業所へ確認したいポイントを整理して紹介します。

01住まいの困りごとと訪問介護、両方を見直すタイミング

「玄関の段差でつまずきそうになる」「浴室が滑って怖い」「トイレの立ち座りがつらくなってきた」——こうした住まいの困りごとは、実は在宅介護の負担が増えているサインであることが少なくありません。転倒への不安から外出や入浴を控えるようになったり、家族が付き添う場面が増えたりすると、住まいの問題と介護の問題は切り離せなくなっていきます。

こうした変化に気づいたときは、住宅改修(工事で住まいを整える介護保険の給付)と訪問介護(ホームヘルパーによる生活面・身体面の支援)を、それぞれ別々に考えるのではなく、あわせて見直す好機です。ケアプランの更新時期やケアマネジャーとの定期面談は、まさにそのタイミングにあたります。

注意したいのは、「住宅改修さえすれば解決する」「訪問介護の回数を増やせば解決する」という単純な足し算では、生活全体の困りごとが解消しないことがある点です。たとえば段差を解消しても、その先の生活動線で新たな支援が必要になることもありますし、逆に手すりが1本増えるだけで訪問介護の負担が大きく減ることもあります。

介護ほうもんさーちで事業所を探す際も、こうした住まい全体・生活全体の視点を事業所やケアマネジャーに伝えておくと、見学や相談の際に的確なアドバイスを受けやすくなります。「最近つまずきやすい場所がある」「この動作に時間がかかるようになった」といった具体的な困りごとを、遠慮せずケアマネジャーに共有することから始めてみてください。次の章から、住宅改修という制度の全体像を確認していきます。

02介護保険の住宅改修とは何か(制度の全体像)

介護保険の住宅改修は、在宅介護を継続しやすくし、本人の自立を支援する観点から、住まいの改修費用の一部を保険給付の対象とする制度です(厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。対象となる工事は次の6種類と定められています。

  1. 手すりの取付け
  2. 段差の解消
  3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
  4. 引き戸等への扉の取替え
  5. 洋式便器等への便器の取替え
  6. その他前各号の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

支給には限度額があり、要支援・要介護の区分にかかわらず定額で設定されています。保険給付の割合や具体的な限度額・自己負担額は、所得区分等によって変わる仕組みになっているため、本記事では具体的な金額の断定は避けます。ご自身の場合にいくらまで給付が受けられるかは、担当のケアマネジャーまたはお住まいの市区町村の介護保険担当窓口に必ずご確認ください。

対象となるのは要支援1・2、要介護1〜5の認定を受けている方です。認定の区分によって使える金額の枠組みが変わるわけではありませんが、後述するように要介護度が大きく変わった場合や転居した場合には、あらためて枠が設定される特例があります。

事業所探しやケアマネ相談の場面では、「うちの場合、住宅改修の対象になる工事はどれか」「今の要介護度でどのくらいの給付が見込めるか」を具体的に質問するとよいでしょう。ケアマネジャーは日常的にこの制度を扱っているため、家庭の状況に応じた説明をしてくれます。次章では、実際の申請の流れを見ていきます。

03申請の流れ:ケアマネジャーへの相談から支給までのステップ

住宅改修で特に注意したいのが、原則として工事に着手する前に市区町村への事前申請が必要という点です(厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。工事を先に始めてしまってから申請すると、給付が受けられない可能性があるため、必ず「工事前」に動く必要があります。やむを得ない事情がある場合に限り、工事完成後の事後申請が認められることもありますが、これはあくまで例外的な扱いです。判断は市区町村によるため、事前に必ず確認してください。

事前申請の際には、支給申請書や工事費の見積り書に加えて、「住宅改修が必要な理由書」という書類の提出が求められます。この理由書は、介護支援専門員(ケアマネジャー)、地域包括支援センターの職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーター(検定2級以上)など、一定の要件を満たす専門職が作成することになっています。つまり、住宅改修は本人や家族だけで進めるのではなく、必ずケアマネジャー等の専門職が関わる仕組みになっているということです。

工事完了後には、領収書や工事費内訳書、改修前後の状態がわかる写真などの提出も必要です。書類の種類や様式は市区町村ごとに細かな違いがあるため、「うちの市ではどの書類が必要か」「見積もりは何社分必要か」を担当のケアマネジャーや市区町村の窓口に具体的に聞いておくと、手続きがスムーズです。

事業所探しの段階では、住宅改修の相談実績がある事業所かどうか、ケアマネジャーと連携した経験があるかを聞いてみるのも一つの視点になります。次章では、要介護度の変化や引っ越しがあった場合の取り扱いを整理します。

04要介護度が変わったとき・引っ越したときの取り扱い

住宅改修の支給限度額は生涯を通じて設定されるものですが、一定の条件下で再度設定される特例があります。厚生労働省の資料によれば、要介護状態区分が「3段階以上」重くなった場合には、あらためて限度額が設定される仕組みです。この区分は、第一段階(要支援1)、第二段階(要支援2・要介護1)、第三段階(要介護2)、第四段階(要介護3)、第五段階(要介護4)、第六段階(要介護5)という6つの段階で数えるとされています(要支援2と要介護1は同じ第二段階として扱われます)。ご自身の場合に段階がいくつ変わったことになるのかは、必ずケアマネジャーまたは市区町村の窓口に確認してください。

また、転居した場合にも同様に、あらためて限度額が設定されます。長期間の在宅介護では、身体状況の変化にあわせて住み替えを検討する家庭もありますが、その際に「前の家で住宅改修の枠を使い切っていたから、もう使えないのでは」と心配する必要はない、ということです。ただし、区分変更や転居があったからといって自動的に枠が再設定されるわけではなく、あらためての申請と市区町村の確認が必要になります。

要介護認定の更新や区分変更の申請中に住宅改修を検討したい場合、事前申請や着工そのものは進められるケースもありますが、実際の支給は認定結果が確定してから、という流れになるのが一般的です。認定審査のタイミングと工事のタイミングがずれると、思わぬ手戻りが生じることもあるため、「今の認定状況でどこまで進めてよいか」を必ずケアマネジャーに確認してから動くようにしてください。

事業所やケアマネジャーに相談する際は、「区分変更の申請を出す予定がある」「近く転居を考えている」といった今後の見通しも合わせて伝えておくと、住宅改修と訪問介護の両方について、タイミングを踏まえたアドバイスを受けやすくなります。

05賃貸住宅・借家に住んでいる場合の注意点

「持ち家でないと住宅改修は使えないのでは」と考える方もいますが、賃貸住宅や借家であっても介護保険の住宅改修の対象になり得ます。ただし、住宅の所有者が利用者本人でない場合には、「住宅の所有者の承諾書」の提出が必要とされています(厚生労働省「介護保険における住宅改修」)。つまり、大家や管理会社から工事についての承諾を得る手続きが、制度上組み込まれているということです。

承諾書の取得にあたっては、どのような工事を行うのか、原状回復(退去時に元の状態に戻すこと)をどう扱うのかといった点を、大家や管理会社とあらかじめすり合わせておくことが望ましいでしょう。特に手すりの取付けなど壁に穴をあける工事は、退去時の原状回復費用をめぐるトラブルに発展することもあります。この点は介護保険制度そのものの範囲外の話になるため、契約内容の確認は不動産管理会社や大家との個別の相談事項になります。判断に迷う場合は、市区町村の窓口や消費生活センターへの相談も選択肢です。

また、賃貸住宅の場合、退去時に取り外しが可能な工事内容を選ぶ、あるいは工事を伴わないレンタルの手すり・スロープで代替するといった選択肢も検討の余地があります。どちらが自分の状況に合うかは、住まいの契約条件や身体状況によって変わるため、断定はできません。

ケアマネジャーや事業所に相談する際は、「賃貸なので大家の承諾が必要」「退去時の原状回復も気になっている」という事情を最初に伝えておくと、工事を伴う住宅改修と、工事を伴わない福祉用具のレンタルの両方を選択肢として提示してもらいやすくなります。次章では、このレンタルと住宅改修の違いについて整理します。

06福祉用具のレンタルと住宅改修、何が違い、どう選ぶか

手すりを付けたいと考えたとき、「工事をする住宅改修」と「レンタルする福祉用具貸与」のどちらを選べばよいか迷う方は少なくありません。一般的な整理としては、工事を伴わない据え置き型・突っ張り型の手すりや、置くだけで使える可搬型のスロープなどは福祉用具貸与(レンタル)の対象になり、壁にビスやネジで固定する手すりや、工事を伴う段差解消は住宅改修の対象になる、という区分がよく説明されています。ただし、この区分の当てはめは個々の状況や住宅の構造によって変わり得るため、断定はできません。実際にどちらの制度を使うのが適切かは、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに現地を見てもらったうえで判断してもらう必要があります。

また、2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖について、レンタルと購入のどちらかを選べる「選択制」が導入されました。制度の詳細や対象品目の細かな条件は改定内容によって変わることがあるため、最新の取り扱いは事業所やケアマネジャーに確認することをおすすめします。

レンタルと住宅改修は、給付の枠組みが別々になっている点も実務上のポイントです。同じ「手すり」でも、レンタルにするか工事にするかで使う制度が変わり、費用の考え方も変わってきます。「この手すりはレンタルと工事、どちらの扱いになりますか」「両方を組み合わせることはできますか」といった質問を、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに具体的にぶつけてみるとよいでしょう。

訪問介護の事業所探しの際にも、福祉用具のレンタル事業所と連携した実績がある事業所かどうかを聞いてみると、住まい全体の支援体制をイメージしやすくなります。

07要支援の方・総合事業との違いに注意する

要支援1・2の方が利用する「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)の訪問型サービスは、市区町村が地域の実情に応じて内容や基準、利用料を独自に設定できる仕組みです。そのため、同じ「要支援」の方でも、住んでいる市区町村によってサービス内容が異なることがあります。この点は必ず「お住まいの市区町村へ要確認」としてください。

一方で、住宅改修そのものは全国一律の介護保険の給付であり、総合事業とは制度上の位置づけが異なります。厚生労働省の資料によれば、総合事業(介護予防・生活支援サービス事業)の対象者というだけでは、住宅改修や訪問リハビリテーション、訪問看護、福祉用具貸与といった予防給付に残るサービスは利用できず、要支援の認定を別途受けている必要があるとされています。つまり「総合事業の対象になっている=住宅改修が使える」ではない、という点に注意が必要です。

このあたりは制度が入り組んでおり、家族だけで正確に把握するのは難しい分野です。「自分は要支援の認定を受けているが、総合事業のサービスと住宅改修は別物なのか」「総合事業の訪問型サービスの内容は、自分の市区町村ではどうなっているのか」を、地域包括支援センターやケアマネジャーに具体的に質問することをおすすめします。

介護ほうもんさーちで事業所を探す際も、要支援の認定を受けている方は、訪問介護(介護保険)と総合事業の訪問型サービスのどちらに該当するのかを、事業所やケアマネジャーとの相談の中で確認しておくと、サービス内容の食い違いを防げます。次章では、住宅改修後の生活動線にあわせた訪問介護の見直し方を扱います。

08住宅改修と訪問介護を組み合わせて考えるときに確認したいこと

住宅改修によって生活動線が変わると、それにあわせて訪問介護で受けている支援の内容も見直す必要が出てくることがあります。たとえば段差が解消されて移動がしやすくなった場合、これまで介助が必要だった動作の一部が本人だけでできるようになるかもしれませんし、逆に手すりを設置した動線に沿って新たな見守りや介助が必要になることもあります。改修前提で支援内容を固定してしまわず、改修後の実際の生活を見ながら調整していく視点が大切です。

訪問介護で受けられる支援は、老計第10号(「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」という厚生省の通知)に基づき、身体介護(入浴・排せつ・食事などの介助)と生活援助(掃除・洗濯・調理などの家事支援)等に区分されています。住まいの改修にともなって「この動作をお願いしたい」と考えたときも、それが身体介護にあたるのか生活援助にあたるのか、あるいは訪問介護の対象外になるのかは、老計第10号の考え方に沿って事業所・ケアマネジャーに確認する必要があります。ここでの区分をご家庭だけで断定することは避けてください。

住宅改修とケアプランの見直しが重なる場面では、サービス担当者会議(ケアマネジャー・訪問介護事業所・作業療法士など関係者が集まって支援方針を話し合う場)を活用するのも有効です。改修の内容や目的、日常生活での困りごとを専門職同士で共有してもらうことで、住まいと支援の両方が噛み合った計画を作りやすくなります。

「改修後、この動線での介助はどう変わりますか」「新しくお願いしたい家事支援は生活援助の対象になりますか」といった具体的な質問を、ケアマネジャーやサービス提供責任者に投げかけてみてください。次章ではここまでの内容をまとめます。

玄関・廊下・浴室・トイレなど住宅改修の対象箇所と、その場所に対応する訪問介護の支援内容(上がり框の介助・移動の見守り・入浴介助・排せつ介助)を示す図

09まとめ:まずはケアマネジャーと事業所に相談を

介護保険の住宅改修は、手すりの取付けや段差の解消など6種類の工事を対象に、一定の支給限度額の範囲内で保険給付を受けられる制度です。工事前の事前申請が原則であること、ケアマネジャー等が作成する「住宅改修が必要な理由書」が必要であること、要介護度が大きく変わった場合や転居した場合には限度額が再設定される特例があることなど、押さえておきたいポイントを本記事で整理しました。

一方で、具体的な金額や自己負担割合、市区町村ごとの手続きの詳細、総合事業の訪問型サービスの内容といった点は、家庭の状況や市区町村によって異なります。本記事の内容だけで判断せず、必ず担当のケアマネジャー、訪問介護事業所、そしてお住まいの市区町村の介護保険担当窓口に、最新の情報を確認するようにしてください。

住宅改修と訪問介護は、どちらも「在宅での生活をできるだけ長く、安心して続ける」という同じ目的のための手段です。改修だけ、訪問介護だけと切り離して考えるのではなく、生活全体を見ながら両方を組み合わせて検討することが、無理のない在宅介護につながります。

介護ほうもんさーちでは、お住まいの地域の訪問介護事業所を探すことができます。住宅改修の相談実績がある事業所や、福祉用具専門相談員・作業療法士との連携に慣れた事業所を探しながら、並行してケアマネジャーへの相談も進めてみてください。困りごとを具体的に伝えることが、住まいと介護の両方を整える一番の近道です。

FAQ

このガイドのよくある質問

住宅改修は工事前の事前申請が原則で、申請には「住宅改修が必要な理由書」が必要です。この理由書はケアマネジャーや作業療法士など一定の要件を満たす専門職が作成するものと定められているため、業者に直接依頼して工事を先に始めてしまうと、給付が受けられない可能性があります。まずは担当のケアマネジャーに相談することから始めてください。
賃貸住宅でも住宅改修の対象になり得ますが、住宅の所有者が利用者本人でない場合は「住宅の所有者の承諾書」の提出が必要です。大家や管理会社への説明の仕方、原状回復の扱いなどは制度の範囲外の個別調整になるため、工事内容を決める前に大家・管理会社とすり合わせ、あわせてケアマネジャーにも相談してください。
工事を伴わない据え置き型・突っ張り型の手すりはレンタルの対象、壁に固定する手すりは住宅改修の対象になるのが一般的な整理ですが、当てはめは住宅の構造や身体状況によって変わります。断定はできないため、福祉用具専門相談員やケアマネジャーに実際の住まいを見てもらったうえで判断してもらう必要があります。
要支援1・2の認定があれば住宅改修の対象になります。ただし総合事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の訪問型サービスは市区町村ごとに内容が異なる別の仕組みで、総合事業の対象というだけでは住宅改修は利用できず、要支援の認定が別途必要です。混同しやすいため地域包括支援センターやケアマネジャーに確認してください。
住宅改修は原則として工事着工前の事前申請が必要です。やむを得ない事情がある場合に限り工事完成後の事後申請が認められることもありますが、これはあくまで例外的な扱いで、認められるかどうかは市区町村の判断によります。工事を検討する段階で、着工前に必ずケアマネジャーと市区町村に相談してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

  • 厚生労働省「介護保険における住宅改修」

    住宅改修の対象工事6種類、支給限度基準額(生涯20万円・要介護状態区分/転居時の再設定と6段階区分)、申請の流れ、理由書の作成者要件、必要書類、賃貸住宅の所有者承諾書等の一次情報。内容を目視確認済み

  • 厚生労働省 資料(住宅改修の支給限度基準額の再設定等)

    要介護状態区分が3段階以上重くなった場合・転居時の限度額再設定に関する記載

  • 厚生労働省老健局振興課「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)」

    総合事業の訪問型サービスが市区町村ごとに内容を設定する仕組み、予防給付に残るサービス(訪問看護・福祉用具貸与等)利用時に要支援認定が別途必要である旨の記載。内容を目視確認済み

  • 老計第10号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」(平成12年3月17日 厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長通知)

    訪問介護の身体介護・生活援助の区分の根拠通知。原文構成を確認済みだが、個々の行為の当てはめは事業所・ケアマネジャーへの確認を推奨

  • お住まいの市区町村 介護保険担当窓口・地域包括支援センター

    住宅改修の具体的な申請書類・様式・総合事業の訪問型サービス内容は市区町村ごとに異なるため、個別確認が必須

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