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訪問介護は精神疾患・精神障害があっても使える?年齢で変わる制度と相談先

Published
作成日: 2026年7月9日
Updated
最終更新日: 2026年10月6日

結論、精神疾患があっても訪問介護は使えます。ただし65歳以上で要介護なら介護保険、65歳未満で介護保険の対象外なら障害福祉の居宅介護と、年齢と認定で制度の入口が分かれます。申請先、ヘルパーに頼める支援、事業所に伝えることを整理します。

01精神疾患・精神障害があっても、訪問介護は使える?

使えます。精神疾患があることは、事業所が依頼を断る正当な理由になりません。ただし、どの制度のヘルパーを使うかは年齢と認定で分かれ、65歳未満の方の多くは障害福祉の「居宅介護」が入口になります。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第9条は、訪問介護事業者が正当な理由なくサービスの提供を拒むことを禁じています。正当な理由にあたるのは、事業所の今の職員では応じきれない場合や、住まいが事業所の「通常の事業の実施地域」の外にある場合などで、診断名そのものは含まれません。

先に、この記事の要点をまとめます。

  • 65歳以上で要介護1〜5の認定を受けている方は、介護保険の訪問介護を使います。要支援1・2の方は、市区町村の総合事業の訪問型サービスが中心です。
  • 40〜64歳の方が介護保険を使えるのは、16種類の特定疾病に当たる場合だけです。統合失調症やうつ病などの精神疾患は、特定疾病に含まれません。
  • 介護保険の対象にならない方は、障害者総合支援法の居宅介護(ホームヘルプ)が入口です。市区町村に申請し、障害支援区分1以上の認定を受けると対象になります。
  • 薬を飲む場面での声かけや見守り、配られた薬を出す手伝いはヘルパーに頼めます。薬の量や種類の調整は、主治医と薬剤師の役割です。

障害福祉のヘルパーを使っていた方が65歳を迎えるときの切り替えは、「65歳の壁」で変わること・変わらないことで取り上げています。治療方針など医療面の判断は、主治医に相談してください。

02年齢や認定によって、どの制度のヘルパーを使う?

65歳以上で要介護認定を受けていれば介護保険、要支援なら総合事業、介護保険の対象にならなければ障害福祉です。どれに当たるかで、最初に相談する窓口も変わります。

65歳以上で市区町村から要介護1〜5の認定を受けている方は、介護保険の訪問介護を使えます。ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行う、全国共通の基準に基づくサービスです。

40〜64歳の方(介護保険の第2号被保険者)が要介護認定を受けられるのは、老化に伴う16種類の特定疾病に当たる場合に限られます。特定疾病には初老期における認知症、脳血管疾患、パーキンソン病関連疾患などが含まれますが、統合失調症やうつ病などの精神疾患は含まれません。精神疾患だけを理由に、この年代で介護保険の対象になることは想定されていません。

40歳未満の方は、介護保険の要介護認定の対象外です。この場合や、40〜64歳で特定疾病に当たらない場合は、障害者総合支援法に基づく居宅介護などの障害福祉サービスを使います。

要支援1・2の認定を受けた方は、介護保険の訪問介護ではなく、市区町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)の訪問型サービスが中心になります。内容や基準は市区町村ごとに異なります。

相談先は、次のように分かれます。

  • 介護保険・総合事業:地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当課
  • 障害福祉:市区町村の障害福祉担当課、相談支援事業所
  • どれに当たるか分からない:上のどちらに聞いてもかまいません。保健所や精神保健福祉センターでも、精神保健福祉の相談を受け付けています

年齢や認定状況によって、介護保険の訪問介護・総合事業の訪問型サービス・障害福祉サービスの居宅介護のいずれが入口になるかを示す制度の分岐図

03障害福祉のホームヘルプ(居宅介護)は、どうすれば使える?

市区町村の障害福祉担当課に申請し、障害支援区分の認定を受けます。居宅介護は区分1以上が対象で、相談支援事業所が作るサービス等利用計画案をもとに、市区町村が利用できる量を決めます。

厚生労働省の「障害福祉サービスについて」は、居宅介護を「居宅において、入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助」を行うサービスとし、対象者を「障害支援区分が区分1以上」としています。ヘルパーが自宅に来て、身の回りの介助や家事を手伝う点は、介護保険の訪問介護と共通しています。

利用までの流れは、おおむね次のとおりです。

  1. 市区町村の障害福祉担当課に、サービスを使いたいと申請する
  2. 認定調査を受け、障害支援区分が決まる
  3. 相談支援事業所の相談支援専門員が、どのサービスをどれくらい使うかの計画案(サービス等利用計画案)を作る
  4. 市区町村が支給決定をし、利用できるサービスの量が決まる
  5. ヘルパーの事業所と契約して、利用を始める

精神障害によって行動上著しい困難があり、常に介護が必要な方は、生活全般の援助や外出時の介護を総合的に行う重度訪問介護や、行動するときに生じうる危険を避けるための援護を行う行動援護の対象になる場合があります。重度訪問介護は障害支援区分4以上で、行動に関する認定調査項目(12項目)の合計点数が10点以上の方などが対象です。制度の詳しい内容は重度訪問介護とは?対象者と支援内容にまとめています。

04介護保険と障害福祉の両方に当たる場合は、どちらを使う?

原則は介護保険が先です。ただし介護保険だけでは必要な量が足りない場合や、近くの介護保険の事業所に空きがない場合などは、障害福祉のサービスも使えます。

介護保険と障害福祉に同じ内容のサービスがある場合、原則として介護保険の給付を優先します(平成19年3月28日の厚生労働省通知「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく自立支援給付と介護保険制度との適用関係等について」)。「保険優先の原則」と呼ばれる考え方です。

ただし、一律に介護保険へ切り替わるわけではありません。厚生労働省の資料は、申請者ごとの状況に応じて、必要な支援を介護保険サービスで受けられるかを市町村が判断するとしています。区分支給限度基準額の制約で市町村が適当と認める支給量を介護保険だけでは確保できない場合や、身近に使える介護保険の事業所がない・空きがない場合は、障害福祉のサービスも使えるとされています。

同行援護・行動援護・自立訓練(生活訓練)・就労移行支援・就労継続支援など、介護保険に同じ内容のサービスがない障害福祉のサービスは、介護保険の対象になったあとも使えます。

2018年からは「共生型サービス」の仕組みもあります。介護保険の事業所が障害福祉サービスを、障害福祉の事業所が介護保険サービスを提供しやすくする特例で、対象はホームヘルプ・デイサービス・ショートステイの3種類です。使い慣れたヘルパーの事業所を続けやすくする仕組みとして、共生型サービスとはで説明しています。

どちらの制度をどれだけ使えるかは、市区町村が個別に判断します。障害福祉担当課と介護保険担当課、ケアマネジャーや相談支援専門員に、今の暮らしで足りない支援を具体的に伝えてください。家族の立場からの選び方は介護保険と障害福祉の訪問サービスの違いも参考になります。

05ヘルパーに頼めること・頼めないことは?

身体介護と生活援助の範囲で、ケアプランに入れた支援を頼めます。精神疾患がある方だけに当てはまる特別な線引きはなく、本人の状態に合わせて何を頼むかを決めます。

介護保険の訪問介護で行う支援は、老計第10号(平成12年3月17日老計第10号「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」、平成30年3月30日老振発0330第2号による改正)で、「身体介護」と「生活援助」に分けて示されています。

身体介護には、食事・排せつ・入浴などの介助のほか、平成30年の改正で明確になった「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」が含まれます。ヘルパーが代わりに行うのではなく、本人と一緒に、または側で見守りながら声をかけ、本人ができることを本人に行ってもらう関わり方です。気力が出にくい日に、一緒に台所に立って調理の段取りを確認する、といった使い方もこの考え方に沿っています。

生活援助は、掃除・洗濯・調理など日常生活の援助で、利用者が一人暮らしの場合や、家族が障害・病気などで家事をしにくい場合に行われます。商品の販売や農作業などの仕事の手伝い、本人の日常生活の援助にあたらない行為は含まれません。同居する家族の分の家事や大掃除などをどこまで頼めるかは、事業所とケアマネジャーがケアプランの中で判断します。

気分や意欲の波で「その日にできること」が変わりやすい場合は、その特徴も含めて事前に伝えておくと、支援内容を決めやすくなります。

06薬のことは、どこまでヘルパーに頼める?

水を用意する、配られた薬を出す、飲むのを手伝う、飲む時間に声をかけて見守る、といった介助は頼めます。残っている薬の確認や飲む量の調整など、医学的な管理は主治医・薬剤師・看護職の役割です。

老計第10号は、身体介護の一部として「服薬介助」を挙げ、見守り的援助の例として「本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す」関わり方も示しています。

医薬品を使う介助については、平成17年の医政局長通知(医政発第0726005号「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」)が、一包化された内用薬の内服などを、一定の条件のもとで医行為にあたらないとしています。条件は、医師や看護職員が、本人の容態が安定していること、副作用の危険性や投薬量の調整のために連続的な経過観察が必要ではないこと、誤嚥のおそれなど専門的な配慮が必要な状態ではないことを確認し、本人や家族に伝えていることです。同じ通知は、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合には、これらの行為でも医行為とされる場合があるとしています。

精神科の薬は、自己判断で量やタイミングを変えると体調に影響することがあります。訪問のときに気になる変化があったら、ヘルパーが誰にどう伝えるかを、事業所と先に決めておいてください。お薬カレンダーへのセットや飲み忘れへの対応がどこまで頼めるかは、訪問介護の服薬介助、どこまで頼める?で詳しく取り上げています。介助と管理の違いは服薬まわりの支援で確認することにもまとめています。

たんの吸引や経管栄養は、別の「喀痰吸引等制度」の対象で、研修の修了や事業所の登録などの要件を満たした場合に限り介護職員が行えます。必要な場合は、訪問介護で受けられる医療的ケアを参考に、対応できる事業所かを個別に確認してください。

07精神科訪問看護とは、何が違う?

訪問介護は生活面の支援、精神科訪問看護は主治医の指示に基づく医療的な観察と療養の支援です。両方を組み合わせて使うこともできます。

精神科訪問看護は、精神科の医師が出す精神科訪問看護指示書に基づき、看護師などが自宅を訪れて、症状の観察や療養上の相談・支援を行うサービスです。費用は原則として医療保険の扱いになりますが、対象者の状態によっては介護保険の扱いになる場合もあります。どちらになるかは、医療機関や訪問看護ステーションに確認してください。

申込みの経路も異なります。訪問介護はケアプラン(障害福祉ではサービス等利用計画)に沿って使いますが、精神科訪問看護は主治医の指示書が出発点です。「生活面の支援は訪問介護、症状の観察などの医療的な支援は精神科訪問看護」と役割を分け、組み合わせ方はケアマネジャーや相談支援専門員、主治医と一緒に決めていきます。

08調子の波がある日は、訪問をどう調整してもらえる?

日時の変更や、その日に行う内容の調整は相談できます。連絡の方法と、直前のキャンセルの扱いを契約前に確認しておくと、調子が悪い日も慌てずに済みます。

体調が不安定なことは、事業所が利用の申込みを断る正当な理由にはあたりません(指定居宅サービス等基準第9条)。一方で、利用を始めたあとに「今日は調子が悪いので、掃除はやめて話を聞いてほしい」「訪問の時間をずらしたい」といった調整が必要になる場面はあります。

契約前やケアプランを作る段階で、次の点をすり合わせておいてください。

  • 気分の波や意欲の低下がある日に、支援の内容をどこまで変えられるか
  • 急に予定を変えたいときの連絡先と、連絡の期限
  • 直前のキャンセルに料金がかかるか(訪問介護のキャンセル料は発生する?)
  • ヘルパーが交代するときに、本人の特徴をどう引き継ぐか

対応できる範囲は事業所ごとに違います。本人の状態を率直に伝え、そのうえで受けられる支援を確認しておくと、利用を始めてからの行き違いを減らせます。

09事業所やケアマネジャー・相談支援専門員には、何を伝える?

診断名の詳しい説明より、日常生活で手伝ってほしいこと、体調の波の出方、緊急時の連絡先を伝えます。主治医や訪問看護との連絡方法も、最初に決めておきます。

相談や事業所との面談の前に、次の2つに分けてメモを用意しておくと、何度も同じ説明をせずに済みます。

本人の暮らしについて

  • 手伝ってほしいこと(例:食事の用意が続かない、入浴の声かけがほしい、通院の準備を一緒にしてほしい)
  • 体調の波の出方と、調子が悪いときに本人が望む関わり方
  • 緊急時の連絡先と、主治医・通院先

事業所に聞くこと

  • 見守り的援助として、本人のペースに合わせた関わりをどこまでしてもらえるか
  • 服薬の場面での声かけと、異変があったときの連絡の流れ
  • 精神科の医療機関や訪問看護ステーションと連携した経験があるか、連絡ノートやサービス担当者会議でどう情報を共有するか

候補の事業所は、介護ほうもんさーちの検索で、介護を受ける場所の住所から実施地域に入っている事業所を探せます。障害福祉の居宅介護の指定を持つ事業所かどうかも、事業所の詳細ページや問い合わせで確かめてください。

どの制度に当たるか分からない段階でも、地域包括支援センターや市区町村の障害福祉担当課に相談できます。最終的にどの制度をどれだけ使えるかは市区町村が決めるため、この記事の内容は相談の準備に使い、具体的な可否は窓口で確認してください。

FAQ

このガイドのよくある質問

精神疾患があることは、訪問介護の利用を断る正当な理由になりません。指定居宅サービス等基準第9条は、正当な理由なくサービスの提供を拒むことを禁じています。ただし、65歳以上で要介護認定を受けていれば介護保険、40〜64歳で特定疾病に当たらない場合や40歳未満の場合は障害福祉の居宅介護というように、年齢と認定で使う制度が変わります。
訪問介護は掃除・調理・身体介助など生活面の支援、精神科訪問看護は主治医の指示書に基づく症状の観察や療養上の支援です。精神科訪問看護は原則として医療保険の扱いですが、状態によっては介護保険の扱いになる場合もあります。両方を組み合わせて使うことができ、進め方はケアマネジャーや相談支援専門員、主治医と相談して決めます。
水の準備、配られた薬を出す、飲むのを手伝う、服薬の時間に声をかけて見守るといった介助は、老計第10号で身体介護の一部とされています。残っている薬の確認や飲む量の調整など医学的な管理は、主治医・薬剤師・看護職の役割です。どこまでを介助として頼むかは、事業所・主治医・薬剤師・ケアマネジャーと決めてください。
連絡すれば、日時の変更やその日に行う内容の調整を相談できます。対応できる範囲や連絡の期限は事業所ごとに違い、直前のキャンセルに料金がかかる場合もあります。契約前に重要事項説明書で連絡方法とキャンセルの扱いを確認しておいてください。
40歳未満は介護保険の要介護認定の対象外のため、介護保険の訪問介護は使えません。障害者総合支援法の居宅介護(ホームヘルプ)が入口になり、市区町村の障害福祉担当課に申請して障害支援区分1以上の認定を受けると対象になります。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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