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朝夕の訪問介護で頼みやすい支援

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

朝の起床・就寝介助や服薬介助、見守り的援助など、朝夕の時間帯に訪問介護で頼みやすい支援の内容を老計第10号に基づいて整理。医行為との線引きや事業所・ケアマネジャーへの確認ポイントも具体的に解説します。

01朝夕の訪問介護、何を頼めるのか迷ったら

「朝、起きるのを手伝ってほしい」「夜、寝る前の支度を頼みたい」——在宅で介護をしていると、こうした朝夕の時間帯こそ人手が足りず困る、という声をよく聞きます。実際、訪問介護(介護保険法に基づくサービス、要介護1〜5の方が対象)では、起床時・就寝時に行う支援の多くが「身体介護」に位置づけられており、老計第10号(平成12年3月17日老計第10号、厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」、平成30年改正)という国の通知の中で、サービス行為の一例として整理されています。

ただし大切な前提があります。老計第10号はあくまで「サービス行為ごとの区分の例示」であり、居宅サービス計画(ケアプラン)や訪問介護計画を作成する際の参考資料という位置づけです。実際に朝夕どのような支援を、どのくらいの時間で受けられるかは本人の身体状況や生活実態、同居家族の有無などによって一件ごとに異なり、最終的にはケアマネジャーと事業所が本人・家族と相談しながら訪問介護計画にまとめていくものです。この記事を読んだだけで「うちも同じように頼める」と決めつけず、必ず事業所・ケアマネジャーに個別の状況を確認してください。

また、この記事が扱うのは介護保険の訪問介護(要介護1〜5)に限られます。要支援の方などが利用する「介護予防・日常生活支援総合事業」の訪問型サービスは、サービスの内容や基準が市区町村ごとに異なるため本記事の対象外です。また、障害福祉制度の重度訪問介護も介護保険の訪問介護とは別の制度です。該当する可能性がある方は、それぞれ市区町村の窓口・地域包括支援センターへの確認をおすすめします。

朝は起床介助と服薬の声かけ・見守り、夕は服薬介助と就寝介助が中心となり、それぞれ生活援助も組み合わせられることを示す時間軸の図

02起床時に頼みやすい支援の内容

老計第10号では、身体介護の一類型として「1-4 起床及び就寝介助」が示されており、起床介助については、声かけ・説明(覚醒確認)→ベッドサイドでの端座位の確保→ベッドサイドでの起きあがり→ベッドからの移動(両手を引いて介助)→気分の確認、場合により布団をたたみ押入に入れる、という一連の流れが例示として記載されています。

これはあくまで一連の流れの「例」であり、実際にどこまでを訪問介護に頼むかは本人の身体状況によって変わります。たとえば端座位(ベッドの端に座った姿勢)を保つのに介助が必要な方と、声かけだけで自分で起き上がれる方とでは、必要な支援の内容も時間も異なります。また、起床時には整容(洗面・歯みがき等)や更衣(着替え)といった身体介護が続けて行われることも多く、これらは老計第10号の別項目に整理されています。朝の一連の流れの中でどこまでを訪問介護に頼み、どこからを家族が担うかは、生活リズムや家族の勤務時間なども踏まえて個別に組み立てる部分です。

事業所探し・ケアマネ相談の場面では、「起床時に何時頃の訪問を希望するか」「端座位や立ち上がりにどの程度の介助が必要か」「起床後の着替え・洗面まで続けて頼みたいか」を具体的に伝えると、訪問介護計画に反映されやすくなります。朝は通勤・通学前の家族の生活時間とも重なりやすいため、希望する時間帯に対応できるかどうかは事業所ごとのスケジュールの空き状況にも左右されます。早い段階で「何時台の訪問実績があるか」を事業所に確認しておくと、日々の調整がスムーズになります。

03就寝時に頼みやすい支援の内容

就寝介助についても、老計第10号の「1-4 起床及び就寝介助」に一連の流れが例示されています。声かけ・説明→準備(シーツのしわをのばす、食べかすやほこりをはらう、布団やベッド上のものを片づける等)→ベッドへの移動(両手を引いて介助)→ベッドサイドでの端座位の確保→ベッド上での仰臥位又は側臥位の確保→リネンの快適さの確認(掛け物を気温によって調整する等)→気分の確認、場合により布団を敷く、という流れです。

起床介助と同様、これも「例示」であり、実際の支援内容は本人の身体状況や生活実態に応じて個別に決まります。就寝前には更衣(寝間着への着替え)や排泄、整容といった身体介護が組み合わされることも多く、これらは老計第10号の別項目として整理されています。また、シーツや寝具の準備といった行為が就寝介助の一連の流れに含まれている点も特徴で、単に「ベッドに寝かせる」だけでなく、快適に眠れる環境を整えるところまでが支援の対象として例示されています。

事業所探し・ケアマネ相談の際は、「何時頃の訪問を希望するか」「更衣や排泄の介助まで含めて頼みたいか」「寝具の調整(気温に応じた掛け物の調整等)も含めてほしいか」を具体的に伝えることが重要です。夜間・遅い時間帯の訪問は、事業所によって対応できる時間帯が異なります。就寝時間が遅くなりがちな方や、逆に早めの就寝を希望する方は、希望時間帯に事業所が対応可能かどうかを早めに確認しておくと安心です。あわせて、夜間の体調急変時の連絡体制がどうなっているかも、事業所に確認しておきたいポイントです。

04朝夕の「見守り的援助」でできること

老計第10号は平成30年の改正(老振発0330第2号、平成30年4月1日適用)で、「1-6 自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」という項目が明確化されました。この項目には「本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す」という行為が新たに明示されたほか、ベッド上からポータブルトイレ等への移乗時の付き添い・介助、認知症高齢者へのリハビリパンツ交換の見守り・声かけ、食事・水分摂取の声かけ誘導、入浴・更衣等の見守り、移動時の転倒防止の付き添い、ベッドの出入り時の自立を促す声かけなどが例示として記載されています。

見守り的援助は、本人が「できることは自分でする」ことを支えながら、必要な場面だけ見守りや声かけを行う支援です。制度上は身体介護に区分されており、生活援助とは異なる枠組みである点に注意が必要です。朝夕の時間帯では、たとえば「ベッドから起き上がる動作は自分でできるが、転倒が心配なので付き添ってほしい」「服薬は自分でできるが、飲み忘れがないか声をかけてほしい」といった場面で活用できる可能性があります。

事業所探し・ケアマネ相談の場面では、「どこまでを本人が自分で行い、どこからを見守り・声かけにしてほしいか」を具体的に伝えることが大切です。見守り的援助は自立支援・重度化防止という考え方に基づくものなので、「全部やってもらう」のではなく「本人の力を活かしながら安全を確保する」という視点で相談すると、訪問介護計画に反映されやすくなります。本人の状態は変化していくものなので、見守りで十分な時期から介助が必要な時期への移行なども含め、モニタリングの機会にケアマネジャーへ状況を伝えていくとよいでしょう。

05服薬に関する朝夕の支援と「介助」と「管理」の違い

朝夕は服薬のタイミングと重なることが多く、老計第10号では身体介護の一類型として「1-5 服薬介助」が示されています。その内容は、水の準備→配剤された薬をテーブルの上に出し、確認(飲み忘れないようにする)→本人が薬を飲むのを手伝う→後かたづけ、確認、という一連の流れです。これは、すでに医師・薬剤師によって処方・配剤された薬を、本人が飲むのを手伝う「介助」の範囲を示したものです。

一方、前章で触れた「見守り的援助」の中には「本人が自ら適切な服薬ができるよう、服薬時において、直接介助は行わずに、側で見守り、服薬を促す」という行為も例示されています。つまり、実際に薬を手渡して飲むのを手伝う「服薬介助」と、本人が自分で服薬できるよう見守り声かけする「見守り的援助」は、老計第10号の中で別の行為として整理されています。どちらに該当するかは本人の状態によって変わるため、事業所・ケアマネジャーとの相談の中で決まっていくものです。

なお、一包化された内用薬の内服介助については、厚労省の資料(「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン」令和6年度老人保健健康増進等事業)で、(1)利用者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること、(2)副作用の危険性や投薬量の調整等のため医師・看護職員による連続的な容態観察が必要な場合ではないこと、(3)誤嚥の可能性など医薬品の使用方法そのものに専門的な配慮が必要な場合ではないこと、という3条件を医師・歯科医師・看護職員が確認し、本人又は家族等に伝えていることが前提とされています。薬の種類や量の変更・調整といった「服薬管理」に関わる判断は医師・薬剤師・看護職の領域であり、訪問介護のスタッフが行うものではありません。服薬に不安がある場合は、まず処方医・薬剤師・訪問看護と相談し、その上で「訪問介護でどこまでの介助が可能か」を事業所・ケアマネジャーに確認することをおすすめします。

06医行為との線引き:ヘルパーができること・できないこと

朝夕の支援を考えるとき、多くの方が気になるのが「これは医療行為にあたるのでは」という点です。この線引きの基本になるのが、平成17年7月26日付け医政発第0726005号厚生労働省医政局長通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」です。この通知は、医療機関以外の高齢者介護・障害者介護の現場等で判断に迷いやすい行為について、原則として医行為ではないと考えられるものを整理したものです。

この通知や、これを踏まえた令和6年度老人保健健康増進等事業「原則として医行為ではない行為に関するガイドライン」(2025年3月)では、体温測定(水銀体温計・電子体温計での腋下計測、耳式電子体温計での外耳道測定)、自動血圧測定器・半自動血圧測定器(ポンプ式含む)による血圧測定、パルスオキシメーターの装着による動脈血酸素飽和度の確認などが「原則として医行為ではない」行為として掲載されています。同様に、皮膚への軟膏塗布・湿布貼付の介助、点眼薬の点眼介助、爪に異常がない場合の爪切り、日常的な口腔ケアなども、一定の条件下で原則医行為ではないとされています。

一方で、痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアは、これとは別の枠組みです。厚労省の喀痰吸引等制度により、介護福祉士や一定の研修(喀痰吸引等研修)を修了し都道府県から認定を受けた介護職員等が、事業所が「登録特定行為事業者」として都道府県に登録している場合に限り、一定の条件下で実施できるとされています。つまり「ヘルパーは医療行為が一切できない」という単純な話ではなく、行為の種類・条件・実施者の要件によって整理が細かく分かれているのが実際のところです。朝夕に体温や血圧を測ってほしい、といった希望がある場合は、その事業所で対応可能かどうか、どのような条件で行っているかを事業所や訪問看護、主治医に確認することをおすすめします。断定はできない領域なので、不安な点は必ず専門職に確認してください。

07生活援助と組み合わせる場合の注意点

朝夕の訪問では、身体介護に加えて生活援助(掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助)を組み合わせて依頼したいという声もよく聞かれます。老計第10号では、生活援助は「身体介護以外の訪問介護であって、掃除、洗濯、調理などの日常生活の援助(そのために必要な一連の行為を含む)であり、利用者が単身、家族が障害・疾病などのため、本人や家族が家事を行うことが困難な場合に行われるもの」と定義されています。

ここで注意したいのが、生活援助には含まれない行為があるという点です。老計第10号では「(1)商品の販売・農作業等生業の援助的な行為」「(2)直接、本人の日常生活の援助に属しないと判断される行為」は生活援助の内容に含まれないとされており、厚労省の資料(「訪問介護サービスの生活援助の取扱いについて」)では、その具体例として家具・電気器具等の移動修理、大掃除、正月・節句等の特別な調理、来客対応、洗車、犬猫等ペットの世話等が挙げられています。同居家族がいる場合、家族の分の家事まで生活援助として頼めるかどうかは、本人の日常生活の援助に属するかという観点から個別に判断される事柄であり、断定はできません。事業所・ケアマネジャーに確認が必要です。

また、朝夕に「利用者と一緒に家事を手助けしながら行う」という関わり方は、老計第10号の見守り的援助の例示にも含まれています。これは生活援助(本人に代わって家事を行う)とは異なり、本人と一緒に行いながら自立を支える身体介護の一類型として整理されています。「代わりにやってほしいのか」「一緒に行いながら見守ってほしいのか」を事業所・ケアマネジャーに伝えることで、どちらの枠組みで訪問介護計画に組み込むかが変わってきます。曖昧なまま依頼すると後から「思っていた内容と違った」ということになりかねないため、朝夕のどの家事を、誰が、どこまで担うのかを具体的に話し合っておくとよいでしょう。

08事業所・ケアマネジャーに確認しておきたいこと

ここまで見てきたように、朝夕の訪問介護で頼める支援の範囲は、老計第10号という一次情報で大枠が整理されているものの、実際にどこまでを、どのくらいの時間で頼めるかは本人の状態や事業所の体制によって個別に決まります。事業所探し・ケアマネ相談の場面では、次のような点を具体的に確認しておくと、その後のミスマッチを防ぎやすくなります。

まず、希望する訪問時間帯(早朝・深夜を含む)に事業所が対応できるかどうかです。訪問介護は24時間対応をうたう事業所ばかりではなく、対応可能な時間帯は事業所ごとに異なります。次に、起床・就寝時にどこまでの身体介護(端座位の確保、移乗、更衣、整容等)が必要かを具体的に伝え、訪問時間内でどこまで対応できるかをすり合わせることです。三つ目に、服薬について「介助してほしいのか、見守りでよいのか」を伝え、服薬の内容や量に関する疑問は医師・薬剤師・訪問看護に確認する、という役割分担を事業所とも共有しておくことです。

さらに、体温測定や血圧測定など医行為に近いと感じる行為について、その事業所で対応しているか、対応する場合はどのような条件かを確認しておくと安心です。加えて、総合事業の訪問型サービス対象の方や重度訪問介護の対象となりうる方は、この記事で扱う訪問介護とは制度が異なるため、市区町村の窓口や地域包括支援センター、障害福祉の窓口に別途確認する必要があります。ケアマネジャーはこうした制度の違いも含めて整理してくれる存在なので、疑問点は遠慮なく相談しましょう。サービス担当者会議やモニタリングの機会に、朝夕の支援内容が実態に合っているかを定期的に見直していくことも大切です。

09まとめ:朝夕の支援を安心して組み立てるために

朝夕の訪問介護で頼みやすい支援は、老計第10号が定める身体介護の「起床及び就寝介助」「服薬介助」「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」という枠組みで大きく整理できます。起床介助・就寝介助は、声かけから端座位の確保、移動、気分の確認までの一連の流れが例示されており、服薬については「配薬の確認・内服の手伝い・後片付け」までが身体介護の服薬介助、「服薬を促す見守り」は見守り的援助に位置づけられています。

医行為との線引きについては、平成17年医政局長通知と令和6年度厚労省ガイドラインにより、体温測定や血圧測定などが原則医行為でないとされる一方、痰の吸引などの医療的ケアは研修修了者・登録事業者という別枠の要件があることも押さえておきたいポイントです。いずれも「できる・できない」を単純に断定できるものではなく、本人の状態や事業所の体制によって条件が変わるため、不安な点は必ず事業所・ケアマネジャー・医療職に確認してください。

大切なのは、こうした一次情報に基づく「できることの枠組み」を理解した上で、自分たちの生活実態に合わせて事業所・ケアマネジャーと個別に相談しながら組み立てていくことです。介護ほうもんさーちでは、こうした朝夕の対応時間帯や支援内容について事業所に確認しながら比較検討できるよう、事業所探しをサポートしています。まずは希望する時間帯や支援内容を整理した上で、気になる事業所に問い合わせてみてください。

FAQ

このガイドのよくある質問

老計第10号の身体介護には「服薬介助」(水の準備、配剤された薬の確認、内服の手伝い、後片付け)が例示されています。すでに処方・配剤された薬を飲む手伝いはこの枠組みで整理されますが、実際にどこまで対応できるかは本人の状態や事業所の体制によって異なります。薬の量や内容の変更は医師・薬剤師の領域なので、訪問介護計画への反映は事業所・ケアマネジャーに相談してください。
対応可能な時間帯は事業所ごとに異なり、すべての事業所が早朝・深夜に対応しているわけではありません。希望する時間帯に訪問実績があるか、緊急時の連絡体制はどうなっているかを、事業所探しの段階で具体的に確認することをおすすめします。ケアマネジャーに相談すると、対応可能な事業所の情報を整理してもらえる場合があります。
起床・就寝介助は、端座位の確保や移動など実際に手を添えて行う身体介護です。一方、見守り的援助は平成30年改正の老計第10号で明確化されたもので、本人が自分でできる動作を側で見守り、声かけをする支援です。どちらも身体介護に区分されますが、本人がどこまで自分でできるかによって、頼む内容が変わってきます。事業所・ケアマネジャーとの相談で個別に決まります。
一包化された内用薬の内服介助は、厚労省のガイドラインで示された3条件(容態が安定している、医師・看護職員による連続的な観察が不要、誤嚥等の専門的配慮が不要)を医療職が確認していることが前提とされています。飲み忘れがないよう配薬を確認し内服を手伝うことは服薬介助の範囲ですが、条件の該当有無や薬そのものの管理は医師・薬剤師・看護職に確認が必要です。
厚労省の通知やガイドラインでは、水銀体温計・電子体温計での腋下や耳式での体温測定、自動・半自動血圧測定器での血圧測定、パルスオキシメーターの装着は「原則として医行為ではない」行為として整理されています。ただし対応するかどうかは事業所の方針にもよるため、朝夕に測定してほしい場合は事業所や訪問看護に対応可否を確認してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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