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介護ほうもんさーち
在宅介護の続け方

夜間の不安があるときの訪問介護の考え方

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

夜間の転倒や体調急変への不安には、夜間対応型訪問介護・定期巡回随時対応型サービスの仕組み、ヘルパーに頼める範囲の考え方、住宅改修による備え、ケアマネジャーへの相談方法までを整理して丁寧に解説します。

01夜間に不安を感じるのは自然なこと──まず知ってほしいこと

夜になると、日中は気にならなかった小さな物音や気配が、急に大きな不安として押し寄せてくることがあります。「もし夜中に転んだら」「急に具合が悪くなったら、朝まで気づけないのではないか」——在宅で介護をしていると、こうした心配は誰にでも起こりうる自然な感情です。夜間は日中に比べて介助にあたる人が少なく、家族が一人、あるいは少人数で対応しなければならない場面が増えるため、不安が大きくなりやすい時間帯だといえます。特に認知症のある方や、転倒・体調急変のリスクが高い方を在宅で支えている場合、夜間の見守りをどう確保するかは、介護を続けていくうえで避けて通れないテーマの一つです。

大切なのは、その不安を家族だけで抱え込まないことです。夜間の生活をどう支えるかは、ケアマネジャー(介護支援専門員)や地域包括支援センターに相談しながら、本人の状態や暮らし方、家族の生活リズムに合わせて一緒に考えていく領域であり、決めつけや我慢で乗り切るものではありません。

この記事では、在宅生活を続けるための訪問系サービスの枠組みを中心に、夜間対応の考え方を整理します。なお、施設への入居を検討する場合の選び方(介護しせつさーちの領域)や、介護職の求人・転職に関する情報(介護おしごとさーちの領域)は本記事の範囲外です。あわせて、事業所ごとの体制・料金・空き状況の断定的な評価もここでは行いません。実際に利用できるかどうか、どこまで対応してもらえるかは、事業所やケアマネジャー、お住まいの市区町村への確認が欠かせない点を、まず前提としてお伝えします。

02夜間対応の訪問系サービスにはどんな種類があるか

夜間の不安に対応するサービスとして、介護保険には「夜間対応型訪問介護」と「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」という、いずれも地域密着型サービスに分類される仕組みがあります。

夜間対応型訪問介護は、夜間の時間帯に、あらかじめ決めた時間に訪問して排泄介助や安否確認を行う「定期巡回」と、体調の変化や困りごとが起きたときに利用者からの通報を受け、オペレーションセンターを介してヘルパーが駆けつける「随時対応(随時訪問)」を組み合わせた仕組みです。オペレーションセンターには看護師や介護福祉士等の資格を持つスタッフが配置され、通報内容を聞き取ったうえで、訪問が必要かどうか、どう対応するかを判断します。「何かあったときに、電話一本でつながる先がある」という安心感は、家族にとって大きな支えになります。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、2012年度に創設されたサービスで、訪問介護と訪問看護を一体的または密に連携させながら提供し、日中・夜間を通じて定期巡回と随時の通報対応を行います。訪問看護の視点も入るため、医療的な観察やケアが必要な場面にも対応しやすい設計とされています。

いずれも地域密着型サービスであるため、原則として事業所と同じ市区町村に住む方が対象となり、事業所の有無や具体的な体制は市区町村によって大きく異なります。また、通常の訪問介護など他のサービスとの組み合わせ方は個々の状況によって異なるため、「自分の住む地域にあるか」「どんな体制で運営されているか」「他のサービスと組み合わせて使えるか」は、必ず事業所やケアマネジャー、市区町村の窓口に確認してください。

夜間対応型訪問介護・定期巡回随時対応型訪問介護看護・緊急通報システム・住まいの工夫という、夜間の不安に対応する4つの選択肢を一覧にした図

03通常の訪問介護と夜間対応サービスの違いを整理する

「夜だけ少し様子を見てほしい」と考えたとき、まず整理しておきたいのが、通常の訪問介護と夜間対応型サービスの設計思想の違いです。

通常の訪問介護は、ケアプランに基づいてあらかじめ決めた曜日・時間に訪問し、身体介護や生活援助を行うのが基本的な形です。深夜や早朝の時間帯に組み込むこと自体が制度上できないわけではありませんが、実際にその時間帯の訪問体制を持っているかどうかは事業所ごとに大きく異なり、対応できるかどうかは個別の確認が欠かせません。「うちの近くの事業所は夜間に来てもらえるのか」は、思い込みで判断せず、直接尋ねるべき事柄です。

一方、夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、「決まった時間の巡回」に加えて「随時の通報対応」という発想であらかじめ設計されたサービスです。通常の訪問介護のように予定した時間だけでなく、何かあったときに連絡できる窓口が常設されていること自体が、家族の安心材料になります。

なお、これらの地域密着型サービスの対象は要介護1〜5の方であり、要支援1・2の方は対象外です。要支援の方が夜間を含む生活の支援を必要とする場合は、市区町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型サービスが選択肢になることがありますが、内容・基準・利用できるサービス類型は市区町村ごとに異なるため、地域包括支援センターへの確認が必要です。「うちの地域では何が使えるのか」を、まずケアマネジャーや地域包括支援センターに聞くことが、選択肢を整理する第一歩になります。

04夜間、ヘルパーにお願いできること・できないことの考え方

夜間に限らず、訪問介護でヘルパーに依頼できる内容は、老計第10号(訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について)という国の通知に基づき、身体介護と生活援助に区分されています。夜間だからといって特別な行為が一律に可能・不可能になるわけではなく、基本的には日中と同じ区分の考え方が適用される点をまず押さえておきたいところです。

夜間に特に気になりやすいのが「服薬」と「体調確認」です。ここで区別しておきたいのが、服薬の「介助」と「管理」です。あらかじめ一包化された薬を、本人が飲む際にそばで手を貸す、といった「介助」は、状態や条件によって原則医行為に当たらないとされる場合がありますが、用法用量の調整や体調に応じた判断を伴う「管理」は医師・薬剤師・看護師の領域であり、ヘルパーが行える範囲を超えます。この違いを理解しておくと、事業所に相談する際の会話がかみ合いやすくなります。

また、体温測定や自動血圧測定器を用いた血圧測定、パルスオキシメーターの装着などは、平成17年の医政局長通知により、一定の条件を満たす場合に原則医行為に該当しないとされています。ただし、これは容態が安定していること等が前提であり、状態が不安定な場合の対応可否はまた別の判断が必要です。たんの吸引や経管栄養といった医療的ケアは、研修を修了し都道府県の認定を受けた職員が、登録を受けた事業所において実施できる制度になっており、すべての事業所・ヘルパーが対応できるわけではありません。

「夜間、うちの場合は何をお願いできるのか」は、本人の状態や薬の種類、体調の安定度によって個別に変わります。抽象的なイメージで判断せず、事業所やケアマネジャーに具体的な状況を伝えて確認することが欠かせません。

05夜間の急な体調変化が心配なときに確認しておきたいこと

夜間に体調が急変したらどうするか——この不安への備えは、サービスの量を増やすことだけでなく、「連絡体制を事前に整理しておくこと」からも取り組めます。むしろ、緊急時に誰が何をするかが決まっていないこと自体が、不安を大きくしている場合も少なくありません。

まず確認したいのは、「誰に・どの順番で連絡するか」です。かかりつけ医、訪問看護ステーション、ケアマネジャー、夜間対応型サービスのオペレーションセンターなど、関わる窓口が複数ある場合、緊急時にどこへ最初に連絡すべきかがあいまいだと、いざというときに家族が迷ってしまい、対応が遅れる原因にもなりかねません。サービス担当者会議の場で、こうした緊急時の連絡順序や役割分担を具体的にすり合わせておくと、実際に何かが起きたときの安心材料になります。

また、訪問介護には、ケアプランに位置付けられていない緊急の訪問に対応する加算の仕組みがありますが、これは利用者・家族からの要請やケアマネジャーの判断など一定の条件を満たした場合に事業所が届け出て算定するものであり、すべての訪問介護事業所が対応できるとは限りません。「夜間や緊急時に、この事業所は実際に駆けつけてくれるのか」「対応可能な時間帯や条件はどうなっているか」は、契約前に具体的に確認しておくべきポイントです。

医療的な判断——たとえば「このまま様子を見てよい状態か、それとも救急要請すべきか」といった判断は、訪問介護のヘルパーが行う領域ではなく、医療職の関与が必要な場面です。日頃からかかりつけ医や訪問看護と連携し、「こういう状態になったら連絡してほしい」「これは救急車を呼ぶ目安」といった基準をあらかじめ聞いておくことも、夜間の不安を実質的に減らす助けになります。

06住まいの工夫で夜間のリスクを減らす(住宅改修・福祉用具)

人の手による見守りだけでなく、住まいそのものを整えることも、夜間のリスクを減らす有効な手段です。介護保険には、手すりの取り付けや段差の解消、床材の変更、扉の取り替え、便器の取り替えなど、対象となる住宅改修の種類が定められた「住宅改修費の支給」という仕組みがあります。支給限度基準額は要支援・要介護の区分にかかわらず定額で設定されており、そのうち一定割合が償還払いで支給されます。負担割合は所得等の要件によって変わるため、実際の自己負担額や支給される金額は、事業所やケアマネジャー、市区町村に確認してください。

住宅改修で特に注意したいのは、原則として「工事前の事前申請」が必要という手順です。まずケアマネジャー等に相談したうえで、住宅改修が必要な理由書や工事費見積書、完成予定の状態がわかる資料などを保険者(市区町村)へ事前に提出し、承認を得てから施工に入るのが基本的な流れとされています。先に工事を終えてしまうと、支給の対象外になってしまう可能性があるため注意が必要です。「トイレまでの動線に手すりを付けたい」「寝室から廊下の照明を工夫したい」「夜間の移動が不安」といった具体的な希望が出てきたら、業者に直接依頼する前に、まずケアマネジャーへ早めに相談することが大切です。

このほか、離床センサーや見守り機器、ポータブルトイレといった福祉用具についても、介護保険のレンタル・購入の対象になるかどうかは市区町村や品目、要介護度によって取り扱いが異なります。「夜間、離れた部屋にいても異変に気づけるようにしたい」といった希望がある場合も、ケアマネジャーや福祉用具の事業所に個別に相談し、対象になるかを確認しておくとよいでしょう。

07誰に・どこに相談すればよいか

夜間の不安をどう解消していくか、最初の相談窓口として基本になるのはケアマネジャーです。すでに要介護認定を受けてケアプランを作成している場合は、担当のケアマネジャーに「夜が不安なので、対応できるサービスや住まいの工夫を一緒に考えてほしい」と率直に伝えることが出発点になります。夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用を検討する場合も、ケアプランへの位置づけや事業所との調整、サービス担当者会議の開催はケアマネジャーが窓口になって進めてくれます。

まだ要介護認定を受けていない場合や、そもそもどこに相談すればよいか分からないという場合は、お住まいの市区町村が設置する地域包括支援センターが総合的な相談窓口です。保健師や社会福祉士、主任介護支援専門員などの専門職が在籍し、総合相談支援、権利擁護、介護予防に関するケアマネジメントなどを幅広く担っています。「夜間、家族だけで見るのが不安」という漠然とした相談の段階でも、遠慮なく問い合わせて構いません。

さらに、夜間対応型サービスの有無や総合事業の内容、地域密着型サービスの整備状況など、地域によって差が大きい制度については、市区町村の介護保険担当窓口へ直接確認することも有効な手段です。複数の窓口があって分かりにくいと感じるかもしれませんが、まずはケアマネジャーか地域包括支援センターのどちらかに相談すれば、そこから必要な窓口へつないでもらえます。一人で情報を集めようと抱え込まず、専門職に間に入ってもらうことが、結果的に不安解消への早道になります。

08事業所探しで実際に確認しておきたいポイント

夜間の不安を軽くするサービスを探すとき、事業所選びの段階で具体的に確認しておきたいポイントを整理します。

まず、夜間対応の有無と体制です。「夜間対応型訪問介護」や「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を提供している事業所であっても、オペレーションセンターの体制や、通報を受けてから実際に随時訪問が来るまでにかかる時間の目安は事業所ごとに異なります。「通報してからどのくらいで来てもらえるのか」「夜間の連絡先はどこで、誰が電話に出るのか」は、契約前に具体的に聞いておきたい項目です。

次に、対応できる医療的ケアの範囲です。たんの吸引や経管栄養など、研修を修了した職員が在籍しているか、看護師との連携体制があるかは事業所によって差があります。本人に医療的なケアが必要な場合は、それが提供可能かどうかを、抽象的にではなく具体的な状態を伝えたうえで個別に確認してください。

また、通常の訪問介護事業所であっても、夜間や早朝の時間帯に訪問できるか、緊急時訪問介護加算のような仕組みを届け出て運用しているかは事業所ごとに違いがあります。ケアマネジャーに紹介してもらった事業所であっても、こうした点はあらためて自分の言葉で確認しておくと安心です。

なお、個々の事業所の評価や空き状況、料金の詳細は、このガイドの範囲を超える情報であり、事業所詳細ページの確認やケアマネジャーへの相談を通じて把握すべき領域です。気になる事業所が見つかったら、「夜間の体制」「医療的ケアの可否」「緊急時の連絡方法」の3点を軸に、家族の具体的な状況を伝えて問い合わせてみることをおすすめします。

FAQ

このガイドのよくある質問

通常の訪問介護でも、夜間・早朝の時間帯にケアプラン上で訪問を組み込むこと自体は制度上できないわけではありませんが、実際にその時間帯に対応できる体制を持っているかは事業所ごとに異なります。加えて、夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護のように、夜間の巡回と随時の通報対応を前提に設計されたサービスもあります。他のサービスとの組み合わせ方も含め、対応可否は個別の確認が必要なため、まずケアマネジャーに希望を伝えて相談してください。
どちらも夜間を含む定期巡回と随時の通報対応を組み合わせた地域密着型サービスですが、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は訪問介護と訪問看護を一体的または連携して提供する点が特徴とされ、医療的な観察が必要な場面にも対応しやすい設計です。事業所の有無や体制、対応範囲は市区町村・事業所によって異なるため、実際に利用できるかはケアマネジャーや事業所に確認してください。
夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護の対象は要介護1〜5の方で、要支援1・2の方は対象外です。要支援の方が夜間を含む生活支援を必要とする場合、市区町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業の訪問型サービスが選択肢になることがありますが、内容や基準は市区町村ごとに異なります。まずは地域包括支援センターに相談し、お住まいの地域で使えるサービスを確認してください。
体温測定や自動血圧測定など一定の行為は条件を満たせば原則医行為に該当しないとされていますが、状態が不安定な場合の判断や「様子を見てよいか救急要請すべきか」といった医療的判断はヘルパーが行う領域ではありません。たんの吸引等の医療的ケアも研修修了者・登録事業者に限られます。夜間の対応範囲は事業所やケアマネジャー、かかりつけ医と事前にすり合わせておくことが大切です。
夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護は地域密着型サービスのため、事業所の有無は市区町村によって異なります。地域にない場合は、通常の訪問介護事業所の夜間対応の可否、訪問看護との連携、住宅改修や見守り機器の活用、緊急時の連絡体制の整理など、複数の方法を組み合わせて備えることになります。まずケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、地域で使える選択肢を確認してください。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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