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パーキンソン病の方の訪問介護の確認ポイント|対象条件・服薬・転倒対策

Published
作成日: 2026年7月7日
Updated
最終更新日: 2026年7月8日

パーキンソン病の症状の特徴と重症度分類を踏まえ、訪問介護で確認したい対象条件・服薬まわりの相談方法・すくみ足や転倒リスクへの向き合い方を、事業所やケアマネジャーへの相談の視点で丁寧に整理します。

01パーキンソン病の方が訪問介護を考えるタイミングと基本的な流れ

パーキンソン病は進行性の神経変性疾患で、症状の現れ方や進み方には個人差があります。「歩きにくさが増えてきた」「家事の途中で疲れやすくなった」「服薬のタイミングと生活のリズムが合わせづらい」といった困りごとが出てきたタイミングで、訪問介護を含む介護保険サービスの利用を検討し始めるご本人・ご家族が多くいらっしゃいます。

訪問介護(介護保険)を利用するには、まず市区町村の窓口で要介護認定を受ける必要があります。流れとしては、(1)市区町村の介護保険担当窓口への申請、(2)認定調査員による訪問調査、(3)市区町村が主治医に依頼する主治医意見書の作成、(4)介護認定審査会での審査、という順で進みます。65歳以上の方はもちろん、40歳以上65歳未満の方も、パーキンソン病が原因で要介護・要支援状態になっている場合は申請の対象になり得ます(次章で詳しく説明します)。

すでにかかりつけの神経内科医がいる場合は、要介護認定の申請を伝えた上で、主治医意見書の作成について相談しておくとスムーズです。また、申請前の相談窓口としては、お住まいの地域包括支援センターも活用できます。認定を受けたあとは、ケアマネジャーが窓口となってケアプランを作成し、その中に訪問介護を組み込んでいく形になります。まずは「どこに相談すればよいか分からない」状態から抜け出すために、市区町村窓口・地域包括支援センター・主治医のいずれかに、パーキンソン病の診断があることを伝えて相談を始めることが最初の一歩です。

パーキンソン病の方が訪問介護で確認したい、症状の日内変動に合わせた訪問時間帯・すくみ足や転倒リスクを踏まえた支援・服薬介助と服薬管理の違い・医行為との境界という4つの確認ポイントのリスト

02パーキンソン病の症状を正しく理解する(3大症状・非運動症状)

パーキンソン病は、脳内の黒質という部分にあるドパミン神経細胞が減少することで発症する神経変性疾患です。代表的な運動症状として、(1)じっとしているときに手足が震える「静止時振戦」、(2)筋肉がこわばる「筋強剛(筋固縮)」、(3)動作が遅くなる「運動緩慢・無動」の3つが挙げられ、これに姿勢を保ちにくくなる「姿勢保持障害」を加えると、多くの運動症状を説明できるとされています(難病情報センター)。

運動症状だけでなく、意欲の低下・認知機能の変化・幻覚や妄想といった精神面の症状、睡眠障害、便秘・頻尿・発汗異常・立ちくらみ(起立性低血圧)などの自律神経症状、嗅覚の低下、痛みやしびれなど、非運動症状を伴うこともあると難病情報センターでは説明されています。これらは本人にも自覚しにくいものが多く、家族が「性格が変わった」「よく眠れていないようだ」と感じる形で気づくこともあります。

症状の現れ方・組み合わせ・進行の速さには個人差が大きく、同じ「パーキンソン病」という診断名でも生活への影響はさまざまです。訪問介護の事業所やケアマネジャーに相談する際は、公的な情報を鵜呑みにして「パーキンソン病だからこう」と決めつけるのではなく、本人の症状の現れ方(どの時間帯に何がつらいか、日によって変動があるかなど)を具体的に伝えることが、支援内容を検討する上で重要です。難病情報センターなど公的機関の情報で疾患の全体像を確認しつつ、個別の状態は主治医・ケアマネジャーとのすり合わせを大切にしてください。

03重症度分類(ホーン・ヤール分類・生活機能障害度)と支援の関係

パーキンソン病の重症度を表す指標として、医療の現場では「ホーン・ヤール重症度分類」と「生活機能障害度」がよく使われます。難病情報センターの解説によると、ホーン・ヤール分類は、片方の手足のみに症状が見られる段階をI度、両方の手足に症状が及ぶ段階をII度、姿勢反射障害(バランスを崩しやすくなる)が加わるものの日常生活では介助を要さない段階をIII度、起立や歩行はどうにか可能でも日常生活の中で部分的な介助が必要になる段階をIV度、車椅子使用や寝たきりの状態をV度とする段階分けです。生活機能障害度は、日常生活・通院にほとんど介助を要しない1度、部分的な介助を要する2度、全面的な介助を要し独立での歩行・起立が困難な3度に分かれます。

これらの重症度分類は、指定難病としての医療費助成の対象基準(ホーン・ヤール3度以上かつ生活機能障害度2度以上が原則とされます)に関わる指標であり、要介護認定の要介護度とは別の物差しです。「ホーン・ヤール◯度だから要介護◯」という単純な対応関係はなく、要介護度は認定調査や主治医意見書の内容に基づいて介護認定審査会が総合的に判断します。難病医療費助成の詳しい対象基準や、該当しない場合の「軽症高額該当」という例外的な仕組みについては、最新の基準を難病相談支援センターや自治体窓口で確認してください。

訪問介護の利用を考える際は、重症度分類の数値そのものよりも、「実際の生活の中で何ができて、何に困っているか」をケアマネジャーに具体的に伝えることが大切です。例えば「立ち上がりに時間がかかる」「歩き出しの一歩が出ない」といった生活場面の困りごとを伝えることで、ケアプランに反映されやすくなります。

04症状の日内変動(ウェアリングオフ)と訪問介護の時間帯の相談

パーキンソン病の治療では薬物療法が中心になりますが、病状の進行に伴い、薬の効果が続いている状態(オン)と効果が薄れて症状が強く出る状態(オフ)が1日の中で入れ替わる「症状の日内変動(ウェアリングオフ現象)」が見られることがあります。これは主治医が治療方針を検討する際の重要な観察点であり、訪問介護の現場でも「どの時間帯に体が動きにくくなりやすいか」を把握しておくことは、支援を組み立てる上で参考になります。

オフの時間帯に訪問が重なると、更衣や移動といった動作に通常より時間がかかったり、介助の必要度が一時的に高まったりすることがあります。逆にオンの時間帯であれば、本人が自分でできる動作の範囲が広がることもあります。こうした変動があること自体は、ご本人・ご家族の観察や主治医からの説明をもとに、ケアマネジャーや訪問介護事業所に伝えておくとよいでしょう。

具体的な確認の仕方としては、「服薬の何時間後くらいに動きにくさを感じやすいか」「訪問介護の時間帯を、比較的動きやすい時間に合わせられないか」をケアマネジャーに相談し、ケアプランや訪問介護事業所との調整の中で時間帯を検討してもらう、という進め方になります。ただし、日内変動への対応は薬の調整(服薬時間・量の見直しなど)が本質的な解決策になる場合が多く、これは医師の治療方針の領域です。訪問介護の時間帯調整はあくまで生活面での工夫であり、症状そのものへの対処は必ず主治医に相談することを前提にしてください。

05すくみ足・転倒リスクと訪問介護で確認したい生活動作の支援

パーキンソン病では、歩き出しの一歩がなかなか出ない、方向転換や狭い場所の通過時に足が止まってしまうといった「すくみ足」や、バランスを崩しやすくなる姿勢反射障害が見られることがあるとされています(難病情報センター)。これらは転倒のリスクにつながりやすい症状として知られていますが、具体的にどの程度のリスクがあるか、どのような環境調整が有効かは、本人の状態によって異なるため、一律の対処法を断定することはできません。

訪問介護の現場で相談できる観点としては、歩行時の声かけのタイミングや動線上の段差・障害物の有無といった生活環境の確認、立ち上がりや歩き出しの場面での見守りといった、老計第10号(訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について)が定める「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」に近い支援があります。これは2018年度の介護報酬改定で身体介護の一区分として明確化されたもので、代わりに行うのではなく、安全に配慮しながら本人と共に行い自立を後押しする関わり方です。

福祉用具(歩行器・手すりなど)の要否や住環境の調整が必要かどうかは、理学療法士・作業療法士やケアマネジャーなど専門職の評価が必要な領域であり、訪問介護の担当者だけで判断するものではありません。「すくみ足があるので歩行時に見守ってほしい」「トイレまでの動線に不安がある」といった具体的な困りごとをケアマネジャーに伝え、必要に応じて福祉用具専門相談員やリハビリ職の評価につないでもらう、という流れで確認を進めてください。

06身体介護・生活援助の区分とパーキンソン病の方に関わりやすい支援内容

訪問介護のサービス行為は、老計第10号(厚生省老人保健福祉局老人福祉計画課長通知「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」)に基づき、本人の身体に直接触れて行う「身体介護」、掃除・洗濯・調理などの「生活援助」、通院時の移送前後の介助を含む「通院等乗降介助」に区分されます。パーキンソン病の方の場合、着替えや入浴、トイレ動作などの見守り・一部介助が身体介護に、調理や掃除などの家事支援が生活援助に該当することが一般的な整理です。

注意したいのは、同じような動作でも本人の状態によって区分が変わり得るという点です。例えば「歩行の付き添い」は、単なる移動の補助であれば見守り的援助(身体介護)に位置づけられる場合がありますが、線引きの詳細はケアプラン作成時にケアマネジャー・事業所が個別に判断します。また生活援助は、同居家族の有無や状況によって対応できる範囲が変わる仕組みになっており、「同居家族がいるので生活援助が使えないのでは」といった疑問がある場合は、実際のケアプラン作成時に確認する必要があります。

事業所探しの段階では、「身体介護と生活援助のどちらが必要か」を自分たちだけで決めつけず、ケアマネジャーに生活場面の困りごとを具体的に伝え、区分の判断を任せることが大切です。相談時の聞き方としては、「着替えや歩行の見守りは身体介護になりますか」「掃除や調理の支援は生活援助で頼めますか」のように、生活動作を一つずつ挙げて確認すると、ケアプランに反映されやすくなります。区分の最終的な判断はケアマネジャー・事業所が行うものであり、この記事では一般的な考え方の整理にとどめます。

07服薬に関して訪問介護でできること・できないこと

パーキンソン病の治療では、症状のコントロールのために決まった時間に薬を服用することが重要とされており、服薬まわりの支援について相談されるご家族も多くいらっしゃいます。訪問介護における服薬支援は、一般的に「服薬介助」と「服薬管理」という2つの言葉で整理されます。服薬介助は、すでに一包化された薬を本人が飲むのを手伝う、声をかける、飲み残しがないか確認するといった行為を指すことが多く、訪問介護員が対応できる範囲とされています。一方、薬をシートから取り出して一包化する作業、在庫確認・仕分け、量の調整といった「服薬管理」にあたる行為は、医師・薬剤師・看護師の業務領域と整理されるのが一般的な考え方です。

ただし、この線引きの詳細や、個別のケースでどこまで訪問介護員が対応できるかは、事業所ごとの体制や本人の状態によっても異なり得るため、断定はできません。特にパーキンソン病では服薬タイミングが症状のコントロールに直結しやすいため、「決まった時間に声をかけてほしい」「飲み忘れがないか確認してほしい」といった希望がある場合は、ケアプラン作成の段階でケアマネジャー・訪問介護事業所に具体的に伝え、対応可能な範囲を確認してください。まだ薬が一包化されていない場合は、一包化を主治医・薬剤師に相談することで訪問介護員が対応しやすくなるケースもあります。

薬の量やタイミングの見直し(オン・オフの調整を含む)は治療そのものであり、主治医・薬剤師の領域です。訪問介護員が症状の変化に気づいた場合、その情報を家族・ケアマネジャー・主治医に共有する橋渡し役にはなり得ますが、薬の調整を判断する立場ではありません。服薬に関して疑問や不安がある場合は、まず主治医・薬剤師に相談し、生活面での支援の希望は訪問介護事業所・ケアマネジャーに伝える、という役割分担を意識しておくとよいでしょう。

08医療的ケアが必要になった場合の訪問介護の位置づけ

パーキンソン病が進行すると、体温測定・血圧測定といった健康観察の機会が増えることがあります。これらの行為は、平成17年の医政局長通知「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」により、水銀体温計・電子体温計による体温測定や自動血圧測定器による血圧測定などは原則として医行為に該当しないと整理されています。このため、訪問介護員が生活支援の一環として体温・血圧を確認すること自体は、この通知の考え方に沿うものです。

一方で、誤嚥や嚥下機能の低下が進み、たんの吸引(喀痰吸引等)が必要になるケースもあります。喀痰吸引等は、介護福祉士や第一号・第二号・第三号研修のいずれかを修了した介護職員等が、都道府県から認定特定行為業務従事者としての認定を受け、かつ事業所が登録特定行為事業者としての登録を受けている場合に限り対応できる、法定の要件がある行為です(厚生労働省「喀痰吸引等制度について」)。すべての訪問介護事業所・すべてのヘルパーが対応できるわけではなく、対応可否は事業所ごとに異なります。

「ヘルパーは医療行為ができない」と単純に断定するのではなく、体温測定のように原則医行為でないとされる行為と、喀痰吸引等のように研修・登録という要件がある行為とを分けて考える必要があります。医療的ケアが必要な状態になった場合は、事業所に対応可否を確認するとともに、訪問看護との役割分担についてもケアマネジャーを交えて相談してください。「たんの吸引に対応できるヘルパーが配置されているか」「訪問看護とどのように連携しているか」を事業所探しの段階で具体的に質問することをおすすめします。

09要支援・要介護・障害福祉制度の違いを整理する

パーキンソン病に関連する訪問系サービスを検討する際、混同しやすい3つの制度を整理しておきます。1つ目は、要介護1〜5の認定を受けた方が対象となる介護保険の「訪問介護」です。2つ目は、要支援1・2の認定を受けた方や基本チェックリスト該当者が対象となる「介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)」の訪問型サービスで、現行の訪問介護に相当するものに加え、基準を緩和した訪問型サービスA、住民主体のB、短期集中予防のC、移動支援のDといった類型があります(厚生労働省)。この総合事業の内容・基準は市区町村ごとに異なるため、必ずお住まいの市区町村窓口・地域包括支援センターで確認する必要があります。3つ目は、障害福祉サービスである「重度訪問介護」で、これは介護保険の訪問介護とはまったく別の制度です。

40歳以上65歳未満の方については、介護保険の「特定疾病」(16疾病)に該当すれば介護保険サービスの対象になり得ます。特定疾病には「パーキンソン病関連疾患」(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病の総称)が含まれており、この年代の方でも要介護認定の申請対象になり得ることは覚えておいてよいポイントです。ただし該当するかどうかは主治医意見書・介護認定審査会の判断によるため、まずは市区町村窓口・主治医に確認してください。

自分(家族)がどの制度の対象になるのか迷った場合は、年齢と現在利用している制度(医療保険・障害者手帳の有無など)を整理した上で、市区町村の介護保険担当窓口・障害福祉担当窓口・地域包括支援センターのいずれかに相談することをおすすめします。制度を横断して迷うケースでは、ケアマネジャーが決まっている場合はケアマネジャーに整理してもらうのが最も効率的です。

FAQ

このガイドのよくある質問

65歳以上の方は原因を問わず要介護認定の申請対象です。40歳以上65歳未満の方も、パーキンソン病関連疾患という特定疾病に該当すれば申請対象になり得ます。ホーン・ヤール重症度分類の段階と要介護度は別の指標で、単純な対応関係はありません。実際に該当するかは主治医意見書に基づき介護認定審査会が判断するため、まず主治医または市区町村の介護保険担当窓口へ確認してください。
すでに一包化された薬を飲む際の声かけや飲み残しの確認といった「服薬介助」はヘルパーが対応できる範囲とされる一方、薬をシートから取り出して一包化する作業や在庫確認・量の調整といった「服薬管理」は医師・薬剤師・看護師の業務領域と整理されるのが一般的な考え方です。個別の対応範囲は事業所ごとに異なるため、ケアプラン作成時に具体的に確認してください。
歩行時の見守りや声かけは、老計第10号が定める「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」として身体介護に位置づけられる場合があります。ただし福祉用具や住環境の調整が必要かどうかは理学療法士などの専門職評価が必要な領域です。具体的な困りごとをケアマネジャーに伝え、必要に応じて専門職につないでもらってください。
介護保険の特定疾病(16疾病)に「パーキンソン病関連疾患」が含まれているため、該当すれば40歳以上65歳未満でも要介護認定の申請対象になり得ます。該当するかどうかは主治医意見書と介護認定審査会の判断によるため、まず主治医または市区町村の介護保険担当窓口に確認することが必要です。
動きにくくなりやすい時間帯を観察し、比較的動きやすい時間に訪問を合わせられないかをケアマネジャーに相談する、という進め方になります。ただし日内変動そのものへの対応は服薬時間・量の見直しなど治療の領域であり、症状の変化については訪問介護ではなく主治医に相談することが前提です。

Sources

参照・確認する一次情報

制度や費用は変更されることがあるため、公式情報と事業所の資料を確認しながら更新します。

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