「夜のヘルパーさんが来られなくなる」。そんな見出しをニュースで見て、不安になった方もいるのではないでしょうか。夜間対応型訪問介護をすでに使っている方や、これから検討していた方に関わる制度改正です。法律の条文と国の審議会の資料をもとに、いつ何が変わるのかを整理しました。
先に、要点をまとめます。
- 2026年6月25日に公布された「社会福祉法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第51号)により、夜間対応型訪問介護は2027年4月1日の施行日に制度上廃止され、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に統合されます。
- 施行日の時点で夜間対応型訪問介護の事業を行っている事業所には、施行日から3年を経過する日(2030年3月末)まで旧制度の規定で事業を続けられる経過措置があります。利用中の事業所がこの期間をどう使うかは、事業所ごとに確認が必要です。
- 統合先の定期巡回・随時対応型訪問介護看護には、2024年度の介護報酬改定で「夜間にのみサービスを必要とする利用者」向けの区分がすでに設けられています。夜だけ使う方が日中分まで負担する形にならないよう配慮した区分です。具体的な報酬や人員配置の特例は、2027年度の介護報酬改定で決まります。
夜間対応型訪問介護は、いつ・なぜ廃止される?
2027年4月1日に制度上廃止されます。夜間の定期巡回と通報による随時訪問という役割が定期巡回・随時対応型訪問介護看護と重なっていることが、統合の理由として国の審議会で示されています。
政府は2026年4月3日に「社会福祉法等の一部を改正する法律案」を閣議決定して国会に提出し、法律は2026年6月25日に令和8年法律第51号として公布されました。厚生労働省の概要資料には「夜間対応型訪問介護を廃止し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と統合する」と明記されています。施行日は2027年4月1日です。制度そのものの概要は夜間対応型訪問介護とはにまとめています。
統合の理由は、社会保障審議会介護保険部会が2025年12月25日にまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」に書かれています。要点は次の3つです。
- 夜間対応型訪問介護の多くの利用者は日中の訪問介護も併用しており、日中と夜間を通じて同じ事業所から24時間のサービスを受けられることは、利用者にとって効果的と考えられる
- 夜間対応型訪問介護の事業者の8割以上が定期巡回・随時対応型訪問介護看護の事業所も運営しており、指定手続きや報酬請求の事務を効率化できる
- 2024年度の介護報酬改定で定期巡回・随時対応型訪問介護看護に設けた新しい区分について、利用者に不利益は生じていないと考えられる
同じ意見は、必要な人員の確保やサービスの認知度向上など、利用者と事業者の双方への影響に配慮し、一定の経過措置期間を設けたうえで、人員配置基準や報酬に特例的な類型を設けることが適当だとしています。
経過措置で、今使っているサービスはいつまで続く?
施行日の時点で事業を行っている夜間対応型訪問介護の事業所は、施行日から3年を経過する日まで、旧制度の規定で事業を続けられます。ただし続けるかどうか、いつ定期巡回へ移るかは事業所ごとの判断になります。
改正法の附則は、施行日に旧制度の指定を受けて夜間対応型訪問介護の事業を行っている事業者について、施行日から起算して3年を経過する日までの間、旧制度の規定がなお効力を持つと定めています。この期間に行われた夜間対応型訪問介護の保険給付も、従来の例によります。施行日が2027年4月1日なので、期限は2030年3月末です。
家族の側から見ると、「2027年4月にいきなり使えなくなる」わけではありません。一方で、経過措置は事業所が旧制度のまま続けることを認める仕組みです。期限前に定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ切り替える事業所もありえます。利用中の事業所がどの時期にどう対応するのかは、事業所からの案内やケアマネジャーを通じて確認してください。
統合先の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とは何が違う?
どちらも定期的な巡回と、利用者からの通報による随時の訪問を組み合わせたサービスです。定期巡回・随時対応型訪問介護看護は日中を含む24時間の対応が基本で、訪問看護と一体または連携して提供する点が異なります。
夜間対応型訪問介護は、夜間に定期的に巡回する訪問と、利用者からの通報を受けて随時行う訪問を組み合わせたサービスです(指定地域密着型サービスの基準第5条)。定期巡回・随時対応型訪問介護看護も同じ組み合わせを持ちますが、対象とする時間帯と看護との関係が違います。
| 項目 | 夜間対応型訪問介護 | 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 |
|---|---|---|
| 対応する時間帯 | 夜間 | 日中と夜間の24時間 |
| サービスの中心 | 介護(排せつの介護、緊急時の対応など) | 介護と看護を一体的に、または訪問看護と連携して提供 |
| 報酬の考え方 | 夜間の訪問に特化した報酬 | 要介護度に応じた月額の報酬が基本(夜間のみの区分もあり) |
| サービス区分 | 地域密着型サービス | 地域密着型サービス |
いちばん大きな違いは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が日中と夜間をまとめて提供する設計になっている点です。夜間対応型訪問介護では、日中は別の訪問介護事業所などを組み合わせるのが一般的でした。統合後は、日中と夜間を同じ事業所が受け持つ形を選べるようになる一方、「夜だけ来てほしい」という使い方にどう応えるかが実務上の焦点になります。日中の仕組みについては定期巡回・随時対応型とは?1日複数回の訪問で説明しています。
夜だけ利用したい人の費用はどうなる?
2024年度の介護報酬改定で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に「夜間にのみサービスを必要とする利用者」向けの区分が新設されています。月ごとの定額と、訪問1回ごとの料金を組み合わせる形で、要介護度によって変わりません。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の通常の報酬は、要介護度ごとの月額です。夜だけ使いたい方がこの形で利用すると、日中分も含めた料金を負担することになりかねません。そこで2024年度の改定では、将来の統合を見据え、夜間対応型訪問介護の利用者負担に配慮した新たな区分が設けられました。厚生労働省の改定資料では、基本夜間訪問サービス費(月ごとの定額)に、定期巡回サービス費・随時訪問サービス費(訪問1回ごと)を組み合わせる形で示されています。
実際の自己負担額は、利用する回数や事業所の加算、負担割合によって変わります。このサイトでは報酬改定で変わる具体額は扱わず、仕組みと確認方法を説明しています。移行の案内を受けたときは、今の利用状況を日中と夜間に分けて書き出し、「この使い方だと月の自己負担はいくらになりますか」と事業所に具体的な金額で確認してください。2027年度の介護報酬改定では、統合に伴う報酬や人員配置の特例が決まる予定です。
今、夜間対応型訪問介護を使っている家族は何をすればいい?
今すぐの手続きは必要ありません。事業所から届く案内に目を通し、ケアプランの見直しや認定更新の機会に、今後の予定をケアマネジャーに確認してください。
確認しておきたいのは次の3点です。
- 利用中の事業所の移行方針:経過措置の期限まで夜間対応型訪問介護として続けるのか、それより前に定期巡回・随時対応型訪問介護看護へ切り替えるのか。事業所からの案内や、重要事項説明書の改訂で示される事項です。
- ケアプランへの影響:要介護認定の更新やケアプランの見直しの際に、「うちが使っているサービスは今回の改正の対象ですか」とケアマネジャーに聞いてください。
- 2027年度の介護報酬改定の内容:夜間のみ利用する場合の報酬や人員配置の特例が決まった時点で、事業所から料金の説明を受けることになります。
これから訪問介護を検討し始める方は、施行前であれば夜間対応型訪問介護を新たに契約すること自体は可能です。ただし数年のうちに制度が切り替わるため、定期巡回・随時対応型の事業所も候補に入れて比べておくと、契約後の見通しが立てやすくなります。
移行にあたって起こりやすい行き違いは?
- 「廃止=2027年4月に利用できなくなる」と早合点する:施行時に事業を行っている事業所には3年間の経過措置があります。慌ててほかのサービスに切り替える前に、事業所とケアマネジャーに予定を確認してください。
- 料金の変化を確認しないまま切り替える:夜間のみの区分があっても、訪問回数や加算で月の負担は変わります。切り替えの案内があったら、月の自己負担を金額で確認してください。
- 近くに定期巡回の事業所がない:定期巡回・随時対応型訪問介護看護は地域密着型サービスで、原則として住んでいる市区町村が指定した事業所を使います。身近に事業所があるかは、地域包括支援センターや市区町村の介護保険担当課で確認できます。
夜間の見守りそのものに不安がある場合は、訪問のない時間帯をどう補うかも一緒に考えておくと、制度の切り替えに左右されにくくなります。考え方は夜間の不安があるときの訪問介護の考え方と、民間の見守りサービスと訪問介護の組み合わせ方にまとめています。
この記事で確認できたこと
- 夜間対応型訪問介護は、令和8年法律第51号により2027年4月1日に制度上廃止され、定期巡回・随時対応型訪問介護看護に統合される
- 施行時に事業を行っている事業所は、施行日から3年を経過する日(2030年3月末)まで旧制度で続けられる。続け方は事業所ごとに確認する
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護には、2024年度改定で夜間のみ利用する人向けの区分がすでにある。報酬や人員配置の特例は2027年度改定で決まる
地域の事業所の対応状況を比べたい場合は、介護ほうもんさーちの検索で介護を受ける場所の住所から、実施地域に入っている事業所を確認できます。相談先に迷ったときはケアマネ・地域包括支援センターへの相談を参考にしてください。

